Rose ...

□Sigaretta
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俺の、部屋。

いつもと同じ、何も変わらない。

俺の隣には千賀がいて、のんびり過ごす。

それが俺のささやかな幸せだ。



「ニカ?」

「ん?何。どしたの。」

「ネット、見た?」

「いや、見てないけど。なんで?」

「煙草。騒がれてるよ?」



ああ、DVDのやつか...。

どうやら、俺が煙草を吸っているところが映り込んでいたらしい。

まあ、俺が煙草を吸っていることは事実だし、
取り立ててどうとも思わない。

嘘の情報を流されるのは嫌いだけれど、本当の事なら仕方ないだろう。



千賀の視線を感じながらも、煙草を一本口に咥える。

ライターで火をつけ、息を吸い込む。

...ああ、美味い。



「ねえ、煙草やめないの?」

千賀はいつも、俺にそう言う。

「辞めないよ、何で。」

「身体に悪いじゃん。」

「俺は大丈夫だよ。」

にこっと微笑んでみるも、千賀の心配そうな顔は、変わらない。

「おいで。」

充分、近くにいる。

けれど俺の心配をしてくれるこいつが、すごく愛おしく思えたのだ。

もっと、もっと近くに感じたくなったのだ。



後ろからぎゅっと抱き着かれる。

首元が少しくすぐったい。

顔を、うずめているんだろう。

甘えたい時や、落ち込んでいる時、心配事がある時。

千賀はいつもこうするクセがある。

「千賀も吸ってみる?」

首元の相手に視線をやりながら問い掛けてみる。

「要らないよ。」

「俺と一緒、嬉しくないの?」

「それは...。」

こいつの困った表情が、好き。
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