短編集

□違う。
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違う。


柏木由紀×松井玲奈

ゆきれな学パロ








玲奈side


珠理奈「玲奈ちゃん...好き......」

玲奈「私も...」



違う。



珠理奈「愛してる...」

玲奈「ありがとう...珠理奈」



違う。
私は.........違う。



珠理奈「今週さ...デート行こうよ?」

玲奈「......いいよ。」



違う。
よくない。



珠理奈「どこ行こっか?」

玲奈「珠理奈の好きな所でいいよ。」



違う。
なに、話進めてるの私。




違う。
違う。
違う。







私が好きなのは.........




























なのに.........
なんで私は珠理奈と付き合ってるの?
別に珠理奈は嫌いなわけではない。
でも、恋愛感情は一切ない。


違う。
本当はわかってる。
珠理奈と私が付き合ってる訳を。



それは...............



























































『あの人』への恋愛感情を捨てるため...



















































「もうお腹すいたの?」

「うん...」

「あ、昼一緒に食べよーよ?」

「うん!」

「また......あーん、してあげるね?」

「う、うん!/////」














『あの人』の隣は...もういる。
しかも、周りから見てもとても仲が良く、バカっぷると呼ばれている程だ。


『あの人』が幸せになってくれればいいなと思う...



違う。
バカっぷるの仲を引き裂くほど、
私は、強くない。


だから...
だから、『あの人』への気持ちを消そうとする。


『あの人』が幸せになってくれればいいとは、ただの弱虫な自分への言い訳だ。





珠理奈「玲奈ちゃん?聞いてる?」

玲奈「あ、ごめん。なんだっけ?」

珠理奈「だから〜映画見に行こうって言ってるじゃん!」

玲奈「あ、映画...いいね。そうしよ?」

珠理奈「わーい!」



もうこういう関係を一年も続けている。
それでも、私の恋愛感情は消えない。











ーデートの日ー

珠理奈「玲奈ちゃん、何見る?」

玲奈「珠理奈がみたいのでいいよ。」

珠理奈「じゃあ恋愛物!」



私はいつもやりたい事がないから珠理奈に合わせる。

違う。
私は、珠理奈とのデートという形のものにあまり関心を持ってないから珠理奈に合わせる。




珠理奈「席は...あ!ここ真ん中だし、ちょうど2つあいてる!ここにしよ!」

玲奈「うん。」



と、関心を持ってないから、
相変わらずそっけない返事で返す。

そして、指定されたスクリーンの指定された席にとりあえず座る。
私の右隣には珠理奈が座る。





「あれ?珠理奈と松井さんじゃん」




え?
なんでここにいるの?
私が一番羨ましい人。


違う。
私が一番憎んでる人。




珠理奈「あ、佐江ちゃん!」

佐江「なに?デート?」

珠理奈「うん!佐江ちゃんも?」

佐江「そうだよ。」



と、いうことは.....



珠理奈「あれ、柏木さんは?」

佐江「えーっと...ポップコーン買いに行くって言ってたからもう来ると.........あ、りんちゃーん!」

由紀「おまたせ!ってあれ?松井さんと松井さんじゃん!笑」

珠理奈「こんにちはー!」

玲奈「こ、こんにちは...」




やっぱり...
『あの人』だ。

私が一番感情を消したい人。

違う。
今の時点では、
私が一番愛してる人。




珠理奈「あれ?佐江ちゃん達、席ここ?」

佐江「うん!」

珠理奈「隣じゃん!」

佐江「マジ?よろしくね!あ、りんちゃんはもちろん、見やすい真ん中の席ね」

由紀「ありがとう!」



憎んでる人のエスコートにより、
『あの人』...いや、柏木さんが私の左隣に座ることになった。




珠理奈「楽しみだねー」

玲奈「うん」


などと会話を交わしているうちに、
映画が始まった。











予告とは裏腹に、
結構濃い映画だ。
序盤からこんな感じとは...


ーねぇ、キス...して?ー

ーいいよ...ー


と、濃厚なキスシーンが目の前の映像で繰り広げられている。



ーこれで終わり?ー


男の人を誘う女の人


ー終わらないよー


また濃厚なキスシーンが始まった。








何回かそれらを繰り返し、
映画も中盤にさしかかった。

その時、私は飲んでた水を手から落とし、
服が少し濡れた。


珠理奈「え!?玲奈ちゃん大丈夫?」

玲奈「あ、うん。ちょっと一回出て、お店からタオル貰ってくるね。」

珠理奈「わかった!」









お店から借りたタオルにより、
服の水分がかなり吸い取られた。

戻るのが少し面倒くさくなり、
映画館ロビーの片隅の椅子に腰掛けた。


「松井さん!」

玲奈「え...?」



後ろを振り向くと、
『あの人』がいた。



由紀「服、大丈夫?」

玲奈「あ、大丈夫です。」



緊張して、
いつも珠理奈と話すような口調になってしまう。



由紀「ねぇねぇ、なんで松井さんって学校ではおとなしいの?」

玲奈「え?なんでですか?」

由紀「なんでって...松井さん、可愛いから笑ったらきっともっと可愛いのに、なんで笑わないのかなって」



...。
『あの人』から突然可愛いなどの言葉を聞き、固まってしまった。



由紀「ん?」

玲奈「...なんで私に可愛いって言ったんですか?」

由紀「...可愛いから。正直に言っただけ!」

玲奈「......違う。宮澤さんが居るのに、なんで私にそんなこと言うんですか?」

由紀「.........んー...。」

玲奈「私の気持ち......わかってください。」



もう、苦しめないで欲しい。
私はあなたへの感情を消そうとしているのに。
あなたに対して無関心になりたいのに。



由紀「気持ち?」

玲奈「私は...あなたへの感情を消したいんです。」

由紀「......ん?なに?感情?」

玲奈「私は..................あなたが好きなんです。その感情を消したいんです。そのために珠理奈と付き合ってるんです。」

由紀「.....................さ............で」

玲奈「え?」

由紀「消さないで!」

玲奈「え?」



...なに言ってるの.........。



玲奈「そんなの......感情を消すのは柏木さんに関係ないじゃないですか!」

由紀「...関係なくないの。」

玲奈「......え?」

由紀「私も......好きなの。」

玲奈「宮澤さんのことが?」

由紀「松井さんのことが。」

玲奈「からかってるんですか?」

由紀「からかってない!」

玲奈「だっていつも宮澤さんと...」

由紀「それは...」

玲奈「ほら。」

由紀「............佐江ちゃんに弱みを握られちゃったから。」

玲奈「え?」

由紀「......前ね、松井さんのことを...............」

玲奈「私のこと?」

由紀「うん...隠撮したことがあったの」

玲奈「ん?」

由紀「ごめん!!!」

玲奈「それで?」

由紀「その写真を佐江ちゃんに見られて、このことを松井さんに言われたくなかったら、佐江ちゃんと付き合えって言われた。」

玲奈「...」

由紀「嫌々付き合うことに従ったんだけど、懐かないと松井さんに言うよって言われて、懐いてるように見えるようにした。」

玲奈「...」

由紀「本当に松井さんのことが好きなの。」

玲奈「本当ですか?」

由紀「本当!...まだ間に合う?」

玲奈「え?」

由紀「感情...まだ残ってる?」

玲奈「...............はい。」

由紀「じゃあ...」

玲奈「私も............柏木さんが好きです。」











ー学校ー

由紀「あ、玲奈おはよう!」

玲奈「おはよう!ゆきりん!」

珠理奈「え...?玲奈ちゃん、性格変わった?」

佐江「ちょっとりんちゃん聞いてる?」

由紀「あ、ごめん!」



と、宮澤さんを軽く傷つけると、
私の席までやってきて、
私が座っている膝の上に
向かい合わせに乗ってきた。



佐江「え!?りんちゃん?松井さんになにやってるの!?」

由紀「ねぇ、キス...して?」



私の首に手を回してくる。
それに応えて私は腰に手を回す。



珠理奈「柏木さん!!私の玲奈ちゃん取らないでください!玲奈ちゃん困って...」

玲奈「いいよ...」


映画のように濃厚なキスをする。


佐江「りんちゃん!?」

珠理奈「玲奈ちゃん!?」


由紀「これで終わり?」


二人の文句をよそに、
私を誘うあなた。


玲奈「終わらないよ」


やっと手に入れたあなた終わるはずはない。
また濃厚なキスが始まった。






終わり

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