短編集
□思い出
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思い出
山本彩×柏木由紀
さやゆき学園パロディ
高校
さやか 生徒会副会長(2年)
ゆきりん 生徒会会長(3年)
彩side
彩「柏木さん!明日の卒業式の送辞のことなんですけど...」
由紀「さや姉さ、あと2日だけでも敬語やめたら?」
彩「いえ、先輩やから無理ですよ」
由紀「えーいいじゃん!」
彩「でもやっぱり...」
由紀「昔みたいに接してよ!幼馴染みなんだからさ!」
そう、私と柏木さんは幼馴染み。
とても仲が良い。
今は先輩後輩の上下関係があり、
なぜか敬語になってしまう。
彩「いや、昔は先輩とかありませんでしたから。」
由紀「昔、いろいろしたよね〜」
彩「しましたね〜」
由紀「ほら!近くの川に行って、水遊びしたり!」
彩「あー!あれは楽しかったです!橋の下まで行って、誰もいない二人きりの場所やったな!」
由紀「他にもほら!ちょっと遠くのショッピングセンター行って、帰りに近道しようとしたら道に迷ったり!」
彩「その時、ゆきりんが手を怪我してたな!あと、トンネルの中で自転車漕ぎながら大声で叫ぶのもめっちゃ楽しかったな!?」
由紀「うん!トンネルの中で好きなアーティストの曲歌ったね!」
彩「うん!確か...秋葉原を拠点に活動してた...」
由紀「えーっと...4年前くらいの話だから思い出せない...」
なんだっけ?
BKA...?じゃないし...
SEK...?いやちがうな...
ABK...?なんか違う...
彩「あ!そう!AKB49じゃなかったっけ?」
由紀「あー!それだ!49!」
彩「私、あのセンターの子が好きやってん!」
名前は...前、前.........あれ?わすれた...
由紀「私は3番手の子だったっけ?」
彩「そうやったな!」
ゆきりんは...
あ!寝ても覚めても好きだった子のワールドにはまってたな!
由紀「ふふふっ!」
彩「え?どうしたん?」
由紀「昔のこと喋ってたら、さや姉が敬語使わなくなったから!」
彩「え?あ、ああああ!」
由紀「いいじゃん!敬語使わなくても!」
彩「そうやな!やめとくわ!」
由紀「で、送辞がなに?」
彩「そうや!送辞は私が読んでもいいもんなん?」
由紀「副会長なんだからあたりまえでしょ!答辞は私が読むんだから!」
彩「そうやな...」
由紀「あーあ...ついにこの学校ともお別れか〜!」
彩「そんな悲しいこと言わんといて」
由紀「さや姉、頑張ってね!」
彩「はい...」
卒業式
校長「卒業証書授与。」
校長「柏木由紀。」
由紀「はい!」
彩(ゆきりん、立ち姿綺麗やな...流石生徒会長や!)
由紀(卒業証書もらっちゃった...本当に卒業なんだな...)
校長「送辞。在校生代表、山本彩。」
彩「はい!」
彩「校舎に吹く風が少しずつ温もりを増したように感じられる今日のこの佳き日に、卒業を迎えられました先輩方、ご卒業おめでとうございます。 」
彩「初めて先輩方と出会った対面式の日を思い返すと、懐かしさで胸がいっぱいになります。」
そうだあの日、ゆきりんは、私の入学をめっちゃ喜んでくれとったなぁ
彩「としがひとつ違うだけとは思えないほど頼もしい雰囲気の先輩方は、これから始まる高校生活において私たちの目標となりました。」
ゆきりんは本当にええ先輩やった
彩「私たちは、部活動や生徒会活動を中心に、様々な活動を通して先輩方とかかわってきました。そのどの場面でも、先輩方は優しく親身になってくださいました。些細なことでも心配してメールをくださったことや、夜遅くまで話を聞いてくださったこと。私たちが壁にぶつかったときは、必ず先輩方がそばにいてくださったのだと、今、改めて感謝の思いが込みあげてきます。」
そうや。ゆきりんは私がギターでスランプに陥ってるとき、練習付き合ってくれたなぁ。
彩「私は、部活動において何度も先輩方に助けていただきました。そうしてその度に自分の未熟さを情けなく感じ、後悔することも多くありました。けれど、この経験が、自分たちが後輩の手本にならなくては、と強く意識する今の私を作ってくれたのではないかと思っています。先輩方が部活を引退されてからはその思いも一層強くなり、また、先輩方と同じ立場に立つことで、これまでどれほど苦労してこられたか、どれほど大きな力を持っていらっしゃったかということを身に染みて感じました。」
ゆきりんが引退した吹奏楽部は、なんだか冷たい空気やったなぁ
彩「先輩方が部活を引退されたすぐ後には、なぜか三年生はもう学校にいらっしゃらないのではないかと思うほど寂しさを感じました。けれど今度は、図書室や放課後の教室で勉強をしていらっしゃる姿を見るようになりました。大勢にもかかわらず、ページをめくったり鉛筆を走らせる音しかしない張りつめた空気に、先輩方の目標に向かう努力と熱い思いを感じ、その姿からも私たちは多くを学びました。」
ゆきりんはほとんど勉強しとらへんかったけどな笑それで大学受かるのすごいわ
彩「冬になり、半日登校、自由登校と、先輩方との別れが少しずつ近くなっていくのを感じました。そうして今日、とうとう卒業式の日を迎えました。廊下ですれ違って手を振り合うことも、ふざけ合ったりすることももうないのかと思うと、寂しくてたまりません。私たちの思い出は常に先輩方と共にあった気がします。 」
いやや...ゆきりんに卒業して欲しくない...あ、だめや...泣かへんって決めたのに...
彩「今、先輩方の胸にはこの三年間のどのような思い出が浮かんでいらっしゃるのでしょうか。毎日の授業や、みんなで食べたお弁当。お腹がよじれるくらい笑った一言や何気ない会話。また、壁にぶつかった経験など、数え切れないほどの思い出が胸をよぎっていることと思います。」
毎日、ゆきりんと登下校したんが一番の楽しみやったな
彩「私たち後輩から一つだけ贅沢を言わせていただけるのなら、そのキラキラした思い出の一ページに、少しだけ、私たちのことも書き留めておいてください。十年、二十年と、歳をとって高校時代を先輩方が振り返ったときに、「あんな後輩たちもいたなあ」と思い出していただけるなら、これほど嬉しいことはありません。」
忘れへんと信じとる...
彩「私たち後輩も、先輩方から受け継いだ、ぶれない心を持ちながらも、周囲に対する配慮を忘れず、関わるすべての人たちを笑顔にする姿勢を持って、この秋葉原高校をより発展させていきます。」
なんでこんなクサイこと言えるんのやろ。
彩「先輩方は今、大きな岐路に立っておられます。これから先輩方が歩いていかれる道は決して平坦なものではないでしょう。ですが、この高校生活で培った強い精神力と、目標に向けて真摯に取り組む姿勢で、どんな困難も乗り越えられることと思います。 」
涙がとまらへんわ...もうええ、心なくしたるわ.........やっぱ無理やわ。
彩「最後になりましたが、先輩方のご健康とご活躍をお祈りして、送辞とさせていただきます。平成二十六年三月一日、在校生代表 山本彩。」
パチパチパチパチ
はぁ...終わった
拍手されるようなこというてないのに...
校長「答辞。卒業生代表、柏木由紀。」
由紀「はい!」
ゆきりんも泣いてるやん
由紀「在校生のみなさん。本日は、参列いただきありがとうございます。この学校の思い出は一生忘れません。」
忘れてもらったら困るわ。
由紀「在校生のみなさんも部活や生徒会活動、勉強頑張ってください。」
由紀「最後になりましたが、在校生のご活躍、お祈りをして、これを答辞とさせていただきます。平成二十六年三月一日、卒業生代表 柏木由紀。 」
パチッパチ...パチパチ
短っ!ゆきりんどないしてんろ?
大泣きしてるやん
校長「別れの歌」
♪桜の花は
別れの栞
ひらひらと手を振った
友の顔が浮かぶ
桜の花は
涙の栞
大切なこの瞬間(とき)を
いつまでも忘れぬように…♪
校長「卒業生退場」
あぁ...おわってしまったな...
彩「ゆきりん!卒業おめでとう!」
由紀「ありがとう!」
彩「答辞、どないしたん?」
由紀「さや姉の送辞聞いてたら感動して、頭真っ白になって答辞で言うことわすれちゃった♪」
彩「あーそうやったんや!あ、今日一緒に帰ろうや」
由紀「ちょっと待ってて!同じクラスの倉持くんに呼び出されてるから!」
彩「あ、そうなん?じゃあここでまっとるな!」
由紀「ありがと!行ってくるね!」
倉持さんって耳好きな男子さんやな...
告白かな?ゆきりんモテるからなー
由紀「ただいま!」
彩「おう、おかえり!何しとったん?」
由紀「あー...『あなたが好きです!付き合ってください!』って言われたけど、『ごめんなさい!好きな人がいるから!』って断っちゃった!」
彩「...好きな人?」
由紀「え?」
彩「好きな人って誰?宮澤くん?」
由紀「ちがうよ!......山本さんだよ!」
彩「...へー!私と同じ名前かー!」
由紀「私は、山本彩がすき!」
彩「マジで?」
由紀「うん!」
彩「まさか下の名前までおなじやったとはなー!」
由紀「ちゃうわ!」
彩「何がちゃうん?てか、関西弁つかえてないで!」
由紀「わたしは、目の前にいる、秋葉原中学校副会長の山本彩が好き!」
彩「え?」
由紀「え?」
彩「え?」
由紀「え?気づいてなかった?」
彩「なにが?」
由紀「私がさや姉のこと好きってこと」
彩「気づいてへんわ!」
由紀「結構アピってたんだけどなー」
彩「えええ!?」
由紀「それなのに最近ずっと敬語だし!」
彩「嘘やろ?」
由紀「ほんとほんと!さや姉は?」
彩「私?私もゆきりんのこと好きやったで!」
由紀「ほんと?」
彩「ほんとや!エイプリルフールちゃうもん!」
由紀「じゃあ、付き合ってね?」
彩「うん!」
終わり