短編集

□翻訳してね!
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翻訳してね!


小嶋陽菜×柏木由紀

にゃんわげ社会人パロディ




由紀side


私は、この『秋葉会社』の新入社員。
もうすぐ務め始めて8ヶ月がたつ。
入ったばかりの頃に、一目見て恋に落ちてしまった。
そう、いわゆる『一目惚れ』をした。
そして、その人は...



陽菜「かしわげちゃーん!書類できたー?」

由紀「あ、はい!今、持っていきます!」




部長の小嶋陽菜さん。

入ってすぐ、この人が部長だと言われた時には正直驚いた。
こんなふんわりした若い可愛い方が部長だとはとても思えなかった。
現在も一緒に仕事しているが、
本当になぜ部長なのかわからない。

たくさんミスしていたり、
雑談ばっかりしていたり...
でも、私はそういうところに惹かれていった。

...そして、なぜそういうところに惹かれたのかもわからない。

客観的にみると、仕事もできないダメ人間だと思う。





陽菜「あれー?かしわげちゃん、ここ間違ってるよ??英訳するやつ!」

由紀「え?本当ですか?.........あれ?」

陽菜「ほら!間違ってるでしょ?」

由紀「...これ、『If I could dance well, I would be ‘‘Center''』であってませんか?」

陽菜「なんでー?それ訳したら『もし、センターのダンスがさむかったら、どうしますか?』じゃん!」

由紀「はい?これは『上手に踊ることができるならば、私は「センター」であるでしょう』ですよ!」

陽菜「えー?なんで??」

由紀「まず、クエスチョンはついてないです!なので、『どうしますか?』と聞くことはありません。」

陽菜「まぁ、難しいことはいっか♪じゃああってるよー!」



会議に使う書類なのに、
こんな適当でいいのだろうか...?



陽菜「ねぇ、かしわげちゃん!この書類もやってほしいんだけど、今日残業できる?」



定時が5時で、今は4時30分。
この量だったら2時間はかかるかな?



由紀「はい!大丈夫です。どうせ家に帰っても待ってくれる人なんていないですし、会いたいという人もいませんから。」

陽菜「ええ!?かしわげちゃん、彼氏いないのー?こんなに可愛いんだから、彼氏の一人や二人、いるかと思ったー!」

由紀「はぁ...私、一個も可愛くないですよ」

陽菜「えー自覚ないのー?社内で結構人気だよ〜」



部長は何をおっしゃってるのだろうか...
私は小さい頃のあだ名が
『メガネザル』だったり、
『ブラックまりもっこり』だったり、可愛さの欠片もない。



陽菜「じゃあ残業よろしくね」

由紀「はい!」






うーん...結構難しい......
この書類も英訳だし...
これは和訳...
なんでこう翻訳の書類ばっかり...

もう定時だ...



倉持明日香「ゆきりんお疲れ様!この書類今日まで?」

由紀「うん...」


同期のもっちーこと倉持明日香。
もっちーは、私が小嶋部長のことを好きなのを知っている。


倉持明日香「がんばれ!あ、噂で聞いたんだけど、大島社長が小嶋部長狙ってるんだって!」

由紀「え!?」

倉持明日香「大島社長が小嶋部長を気に入ってるから、部長に就任させたらしいよ!」

由紀「私より大島社長の方が上に決まってるじゃん!やっぱり小嶋部長なんて高嶺の花だったんだ...」

倉持明日香「まだ決まったわけじゃないんだし、頑張ってみたら何かいいことあるかもよ?」

由紀「元々どこが好きなのかわからないのに好きだって決めつけてたんだもん。私は小嶋部長に幸せになってもらえればそれでいい!」

倉持明日香「なんでそうなんのよ!?...私、彼氏待たせてるからもう帰るよ?残業がんばってね」

由紀「うん、ばいば〜い」


よし!あと3枚!
頑張ろ!







あーあ...
なんで今日に限って残業してる人誰もいないの...?
本当に一人じゃん...
でも、最後の1枚!
よし、これやって早く帰ろう!


えーっと...和訳か...


『You like it.』ん???
『あなたが好きだ。』だよね?

これなんの書類?
まっいっか...次!


『Love』!?
『大好きだ』!?


『I fell in love with you at first sight.』
『私はあなたに一目惚れをした。』

ええええ!?本当になんの書類?


『Reaction is big and likes opening eyes wide very much.』
『リアクションが大きくて、目を見開くのがとても好き。』

はい!?
誰かのラブレターでも紛れ込んだの?


『I am pretty, and a style is good and...But it is a person of steady...I love such you very much.』
『可愛くてスタイルよくて...でもしっかり者で...そういうあなたが大好きです。』

本当にラブレターじゃん...


『Finally, big; translate it aloud!』
『最後は大きな声を出して翻訳してね!』

えええ!?これ、私が大きな声出さなきゃいけないの?
まぁ、一人だからやるけど...


『I, the Kojima positive greens...Yuki Kashiwagi loves it!!!』


由紀「私、小嶋陽菜は...柏木由紀のことが大好きだ!!!」

由紀「えええ!?」

陽菜「ゆきりんお疲れ様!これ、陽菜がゆきりんに宛てて書いたの!」

由紀「ふぇえええ!!!どういうことですか!?」

陽菜「書いた通りに、私、小嶋陽菜は...柏木由紀のことが大好きだ!!!」

由紀「え?本当に言ってますか?」

陽菜「うん!」

由紀「小嶋部長、大島社長に狙われてるって...?」

陽菜「何回もご飯とか誘われてるけど、全部断ってるよ!」

由紀「えええ!?」

陽菜「で、ゆきりんは?」

由紀「え?」

陽菜「この文章読んで、どう思ったの?」

由紀「嬉しかったです///」

陽菜「答えはどうなの?」

由紀「私も小嶋部長のことが大好きです//」

陽菜「ほんとに?」

由紀「本当です!」

陽菜「じゃあ...私と付き合ってもらえますか?」

由紀「はい!よろしくお願いします!」

陽菜「ありがとう!!!」



このときに私は気づいた。
私はダメ人間が好きなわけではない。
ダメ人間とは関係なく、
この人の醸し出す雰囲気、そしてこの人の笑顔が大好きなんだと。





終わり






おまけ

由紀「...小嶋部長、どうやって英文書いたんですか?」

陽菜「翻訳のサイト見つけて、ちゃっちゃかちゃーと!」

由紀「ですよね...笑」



おまけ終わり

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