小説

□教室
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蒸し焼きにされてるように暑い教室。
隣の彼は前の教師を見ていて、時々ノート上にシャーペンを走らせている。
隣の席になって以来、彼を見ていて分かったことがある。
彼は女子に"王子様"と呼ばれるほど整った顔立ちだということ。
しかし、女子に告白されても付き合わないこと。
普通の男である俺にしてみれば、羨ましい限りだ。
それと、もう一つ。
彼は、担任の教師が好きだということ。
俺は知っている。
彼が担任の前でだけ見せる顔があること。
今もそうだ。頬をとろけさせて、目を細めて担任のつまらない話をしっかりと聞いている。
女子には気付かれないほどだが、確実に身体全身で好きだと言っている。
それに気付いて、俺は。


「なぁ、教科書見せてくれねぇ?」

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