Red Cherry

□ミリオン・ダラー
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「もー、仕方ないなぁー。そんなに知りたいなら教えてあげなくもないけどー。」


「てか村田が言い出したんじゃねーか。」


「そうなんだけどね、まさかみんな知らないとは思わなくって説明することが増えちゃったなー、って。」


「ソレハドーモスイマセンデシタ。」



その場の全員が苦笑しながら有利の謝罪に同意した。


それから一息ついた村田は全員の顔を見渡すと先程とは一転真剣な顔つきになり、



「それじゃあ、その昔大巫女と呼ばれた人の話をしていくよ。」



と言うや否や勢いをつけて話し出した。



「大巫女と呼ばれる存在が現れたのは、ちょうど大賢者が眞王と共に行動するようになってからだった。


2人と会った当初は大巫女、というか巫女ですらない一般人だったんだけど。


ただ、眞王に見初められて一緒に眞魔国創立まで立ち会うことになったのは、


一重に彼の見た目が眞王の好みだったから、なんて理由だったんだよね。


…まったくもって不純甚だしいだろ?彼にしたらいい迷惑だったかもしれないね、フフっ。」



そこまで話すと、話の中で引っ掛かるところがあったヨザックが疑問を口にした。



「あの〜、猊下、話の途中で申し訳ないんですけど。」


「何?ヨザック。気になることでもあったかい?」


「話の中で猊下は大巫女のことを『彼』と仰られてましたが、もしかして大巫女は男性だったんですか?」



ヨザックが村田に促された質問に有利はリアクション大で驚き、


コンラートはヨザックと同じ疑問を抱いていたように村田に視線をやると、当の本人は満足げに頷いていた。



「そこ気付いたか〜、うんうん。その通り、大巫女は正真正銘男だよ。」


「うそー?!男?!え、でも巫女って女の人しかなれないんじゃねーの?」


「眞王廟は男子禁制でしたよね、陛下の仰るように男性が巫女になることは不可能なのでは?」


「普通は無理だよね、普通は。」


「その人は普通じゃなかったってこと?」


「そう。言っただろう?彼は眞王に見初められたって。」



そう意味深に答えると有利がハッとそのことに気付いた。



「もしかして大巫女も双黒だったとか?!」


「惜しいっ!瞳の色が違うんだよね、髪が黒いのは当たってるんだけど。」


「でも双黒が一番重宝されるんだろ?」


「まぁ、そうではあるんだけど。」


「…眞王が黒以上に重宝していた色があったということですか?」



ヨザックのその言葉を聞くと村田は顔を輝かせた。



「その通り!今日もよく冴えてるね、さっすがお庭番だよ!


そうなんだよ、アイツが気に入ってる瞳の色がじつはもう1つあるんだよ!」


「ありがとうございます。


それにしても黒と同等の高貴な色があるなんて初めて知りました…。」


「そうだよ、眞王は双黒マニアなんじゃねーのかよ。」


「双黒マニアじゃなくて双黒フェチの大賢者マニア、ね。」


「や、そんなことどっちでもいいんだけど…。」



有利のツッコミを受けながら質問をする村田。





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