Red Cherry

□ミリオン・ダラー
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ー眞魔国にて数日前ー










「ねぇ、大巫女って知ってるかい?巫女さんのことなんだけど。」



大賢者のこの一言が、眞魔国で起きる波乱の幕開けの予告となった。



「大、巫女?大きい巫女さん?」


「ブッブー、渋谷ハズレー!」


「大昔の巫女さん?」


「ブッブー、それも違いまーす!」


「、じゃあ大人の巫女さん!」


「ブッブー、ざんねーん、渋谷は3回間違えたからアウトー!」


「何がだよ!」


「何でしょうクイズが。」


「…寧ろ何でしょうクイズをいきなり始めたのが何でなのか知りたいわ。」


「いやー、どれくらい眞魔国のことをわかってきてるのかなー、って思ってさ。」


「あ、そう…。」


(わけわかんねぇ、普通に聞けよ…。)


「…何か言った?」


「言ってないでっす!」


(何で心読めてるんだ?!エスパーかよ!!)


「そう?ならいいけど。」



大賢者であり親友の村田健におかしな質問のされ方や読心術を発揮され、


眞魔国の魔王である渋谷有利は動揺していた。


その様子をほほえましく見守っていた名付け親ことウェラー卿コンラートは、


動揺して質問を忘れている有利の代わりに答えを促す。



「それで猊下、その大巫女というのは一体どのようなものなんですか?」



すると村田は驚いたように漆黒の瞳を真ん丸にした。



「え、ウェラー卿も知らないのかい?」



そう言い、お庭番のグリエ・ヨザックに顔を向けたが彼も首を横に振っていた。



「俺も聞いたことがありませんねぇ。」


「え〜、ちょっとちょっと、みんな故郷のことなのに何で知らないのさ。それでも魔族なの?」


「そ、そんなに常識的なことなのか?」


「え?常識的かどうかはわかんないけど。」


「わかんないのに言ったのかよ!」



思わず突っ込みをいれてしまった有利をコンラートが宥めた。



「まぁまぁ陛下、まずは大巫女が何か聞かないと。」


「…陛下って呼ぶなよ名付け親。」ジロリ


「そうでしたね、ユーリ。」


「…で、村田。結局大巫女って何なんだよ?」



落ち着きを取り戻した有利がもう一度村田に尋ねると、村田は渋々といった様子で口を開いた。





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