小説
□暖かい日
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お昼休みに中庭で尾白と緑谷はベンチに座っていた
「尾白くんの尻尾……硬いというか……もふもふ…………」
「そうかな?なかなか自分じゃ触らないからわからないけど……」
緑谷は尾白の尻尾の先をさわさわと触る
「………………気持ちいい……」
緑谷は尾白の尻尾に顔を埋める
「ちょっ……くすぐったいよ……」
尾白が尻尾を緑谷から取り上げると
「んー……ごめん、もう一回触らせて?」
尾白を上目遣いで見ながら手を合わせてきた
そこまでいうなら……と、尾白は緑谷の頬に尻尾を擦り付ける
「…っ……くすぐっ…たい……」
緑谷は頬を撫でる尻尾を両手で捕まえて、表面は柔らかいのに中身は筋肉質な、なんとも言えない尻尾を大事そうに抱く
「ふぁ……」
緑谷からあくびのような間の抜けた声を聞いて
「眠いの?」
緑谷の顔をのぞき込みゆっくりと落ちていくまぶたを見ながら聞く
すると、緑谷から返事が返ってくることはなく、代わりに静かな寝息が聞こえてきた
(いま昼休みだけど……疲れてたのかな?)
起こすのも可哀想だし後15分間あるから寝かせてあげよう
尾白はそう考え、尾白の肩に頭を乗せ抱き枕の様に尻尾を抱きしめている緑谷の髪を撫でてみる
見た目通りのもふもふな髪質で思わず可愛いと思った
(うー…なんか恥ずかしい気分かも…)
透き通る空を見上げ、隣で眠る自分の愛しい人にキスを贈る
この暖かさがどこにも消えないように尾白は尻尾を抱いて離さない緑谷の顔を見ながら、静かに微笑んだ
こうしてお昼休みが終わるまでの短い時間で幸せを味わったのだった