ヒーローと私の日常

□1:壊れてしまった日常
2ページ/5ページ

「え……」

コンマ数秒の出来事だった。
瞬きをした瞬間、見ず知らずの場所に立っていた。
自分でも信じ難い。でも、事実なのだから仕様がない。この形容し難い現実を、どう受け止めれば良いのか。

幸いにも、お母さんと陸もいるようだ。二人とも目を白黒させながら、周りの様子を窺っている。

「ここ、何処…?」

「アレ、車は?!」

ここは何処なのか。今まで乗っていた車は何処へ行ったのか。皆目検討もつかない。
三人で数秒頭を悩ませていた矢先…。

ウゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!!!!!!!!

「何?!?!」

突如として、辺りにけたたましいサイレンの音が響き渡った。
驚いて危うく尻餅をつきそうになる。

『避難警報‼︎災害レベル鬼です‼︎』

直後にアナウンスが聞こえたかと思うと、いきなり避難警告をされた。
災害レベルなんてものは聞いたことがない。

「ねぇ、災害レベルって何?」

不安そうな顔で陸が聞いてくる。よく分からないが、恐らく危険度的なものなのだろう。

「多分、危険のレベルじゃない?その度合がよく分かんないけど」

「逃げよう‼︎ここにいたら危ない気がする‼︎」

何の勘が働いたのかは知らないが、お母さんは身の危険を察知したらしい。何処へ出るかも分からないのに、目の前の道を一直線に走り出した。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ