ヒーローと私の日常
□1:壊れてしまった日常
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「え……」
コンマ数秒の出来事だった。
瞬きをした瞬間、見ず知らずの場所に立っていた。
自分でも信じ難い。でも、事実なのだから仕様がない。この形容し難い現実を、どう受け止めれば良いのか。
幸いにも、お母さんと陸もいるようだ。二人とも目を白黒させながら、周りの様子を窺っている。
「ここ、何処…?」
「アレ、車は?!」
ここは何処なのか。今まで乗っていた車は何処へ行ったのか。皆目検討もつかない。
三人で数秒頭を悩ませていた矢先…。
ウゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!!!!!!!!
「何?!?!」
突如として、辺りにけたたましいサイレンの音が響き渡った。
驚いて危うく尻餅をつきそうになる。
『避難警報‼︎災害レベル鬼です‼︎』
直後にアナウンスが聞こえたかと思うと、いきなり避難警告をされた。
災害レベルなんてものは聞いたことがない。
「ねぇ、災害レベルって何?」
不安そうな顔で陸が聞いてくる。よく分からないが、恐らく危険度的なものなのだろう。
「多分、危険のレベルじゃない?その度合がよく分かんないけど」
「逃げよう‼︎ここにいたら危ない気がする‼︎」
何の勘が働いたのかは知らないが、お母さんは身の危険を察知したらしい。何処へ出るかも分からないのに、目の前の道を一直線に走り出した。