三種族の血を受け継ぐ者
□2:ライバル×ガ×サバイバル
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「兎に角、ヤツは皆から嫌われている。近付かない方がいいぜ」
「ご忠告ありがとう。よく肝に銘じておくね」
なるべくヒソカには近付かないように。ルカの本能はそう告げていた。
しかし、この時はまだルカも気付いていなかった。
もう既に、目をつけられていることに・・・。
「そうだ!お近付きの印だ。どうだい?」
人懐っこい笑みで、トンパは缶ジュースを差し出してきた。
・・・・見るからに胡散臭い。
自分も飲んでいるところを見せているのは、何かのカモフラージュのためだろうか。
「んー、今はいいや。喉渇いてないし」
やんわり断ると、トンパはすんなりと引き下がった。
その潔さに驚きつつも、ルカはトンパと別れようとした。
そのマシンガントークにウンザリしたというのが大半の理由である。
「それじゃ、ありがとうトンパさん」
人間とは不思議なものだ。思ってもないことを口から勝手にポンポンと吐き出されるのだから。
まあ、ルカはアンソリットであるわけだが。
「ああ、ちょっと待ってくれ。せめて、顔を見せてくれないか?」
依願するトンパに、ルカは態と考える素振りをした。
無論、顔を見せる気なんて微塵もない。
「いや、それはちょっと・・・」
「そっかぁ〜・・・」
トンパは残念そうに肩を落とした。
恐らく、ルカの性別も分かってはいないだろう。
変装の目的はそこにあるのだから、態々自分から変装を解くようなことをする筈がない。
顔を隠している時点でこれらのことに気付かないトンパは、相当観察力がない。か、若しくはダメ元で言ったのか。
「じゃ、お互い頑張ろうな」
「うん」
トンパは手を振りながら去って行った。
良い人そうな顔をしているけれど、多分、あのジュースは何かしら仕組んである筈だ、とルカは思っていた。
その時点でトンパへの信頼度は低い。今後、トンパと関わることはまずないだろう。