三種族の血を受け継ぐ者

□2:ライバル×ガ×サバイバル
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チンッ

「B100・・・ってことは地下百階!?マジか!!」

人生初エレベーターのテンションのまま、ドアが開いたので降りた。すると、一気に緊迫した空気がルカを襲った。

「どうぞ。番号札をお取り下さい」

「あ、どうも」

頭がそら豆の様な人に番号札を渡される。
数字は100番。キリの良い数だった。

「必ず胸に付け、紛失されませぬよう、宜しくお願い致します」

それだけ言って、そら豆頭の人物は何処かへ行ってしまった。
するとすぐに、ショルダーバックを提げた小太りの男に、ルカは話しかけられた。

「君、新顔だなあ」

「え、分かるんですか?」

「まあね」

その男は得意気に笑うと、更にルカに近付いてきた。
「攻撃を仕掛けられても避けられるレベル」。瞬時にそう判断したルカは、少し邪険に思いつつも、特に警戒することもなく、その男の話を聞くことにした。

「何しろ俺、もう三十五回もテスト受けてるから」

「(笑いながら言ってるけどとんでもない数だな)」

本心では呆れていても、当人が傷つかない様に驚いたフリをする。
何故、それ程受けていて受からないのか。ルカには不思議でたまらなかった。

「まあ、試験のベテランってワケだよ」

「(威張れることじゃないけどな!!)」

心の中で悪態をつくも、面倒なことになるのは嫌なのか、適当に相槌を打つルカ。
嫌そうな対応に微塵も気付かずに、男はペラペラと喋っていく。

「(五月蝿いなあ・・・)」

「あ、自己紹介がまだだったな。俺はトンパってんだ」

「うちはルカ」

自己紹介を交わした後、トンパは更に喋り続けた。正にマシンガントークだ。
他の受験者について悠長に喋りだしたトンパを尻目に、欠伸を一つ。
余程つまらないのだろう。最早、右耳から左耳に話が流れてしまっている。

「ま、ここら辺が常連だな。って、聞いてるか?」

「え?あ、ああ。ごめんなさい。ちゃんと聞いてるよ」

危うく立ちながら寝てしまいそうになったルカは、急いで取り繕ってフォローした。
彼女にとっては、他の受験者のことなどどうでもいいようだ。

「あと、危険な奴が一人」

「危険な奴?」

トンパの真剣な顔に興味を引かれたのか、はたまた危険というのに反応したのか。今までまるで聞いていなかった話に耳を傾け始めた。

「44番奇術師ヒソカ。去年、合格確実と言われながら、気に入らない試験管を半殺しにした奴だ」

「半殺し?」

物騒な言葉に思わず聞き返す。
そんな危ない奴が今年も試験を受けられるのは、試験管もテスト内容も毎年変わるからだ。
テスト内容は試験管が決めるため、その年の試験管が合格と言えば、悪魔だって合格出来る。
トンパの話しを要約すると、こんなところだろう。ルカにとっては寧ろ好都合な話だ。

アンソリットであるルカは、天使の血と悪魔の血、加え修羅族の血が流れている。人間には程遠い存在のルカでも、試験は合格出来る可能性があるということだ。

しかし、ルカの心境は複雑だった。
合格の可能性が広がったことは確かだが、不安もあった。
もし、その危険な奴が相当狂っていて、殺人狂だとしたら・・・。そう考えるだけで恐ろしくなる。
見ただけで分かるヒソカの強さ。圧倒的な威圧感に、ルカは気圧されていた。

「(ヒソカ・・・。要注意危険人物だな)」

そう思いながらヒソカを見ていた時だった。

「♥」

「っ!!」

・・・・・ヒソカと目が合った。確実に。
というか、フードを深く被っているので、正しくはフードを介してだが。
全身に冷や汗が伝う。即座に逸らしたものの、ヒソカはまだルカを見ているだろう。
背中に纏わり付く様な視線を、ルカは感じていた。
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