三種族の血を受け継ぐ者
□1:ハジマリ×ト×タビダチ
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「ほんっっっっとうに行くんだな?」
黒を基調とした服装に漆黒のマントを羽織り、頭に巻き角を生やした男が問う。
ルカはその質問にウンザリしながら答えた。
「あのさぁ、何回も言ってんじゃん。行くって決めたら行くの」
「お前の様な単細胞に、ルカの意思は変えられまい。なぁ、ルカ?」
ルカに向かってハートを飛ばしながら言うもう一人の男性。
白を基調とした服装に、ミルクの様に真っ白なマントを羽織り、頭上に黄色い輪を浮かせた男だ。
実はこの二人、魔界の王と天界の王であり、ルカの実の父親である。
魔界の王はエレボス、天界の王はウラノスという。
言わずもがな、黒装がエレボス、白装がウラノスである。
父親が二人いるのには深い訳がある。それを離すことになるのは、まだまだ先のお話。
「兎に角二人共黙っててくんない?ついでに離れてくれると嬉しいんだけど」
大の男に両隣を占領されれば、誰だって不快に思うだろう。
それが父親ともなれば尚更だ。
謝罪して少しだけルカとの距離をとった二人。
距離といっても、ほんの2、3p離れた程度だ。
その過保護さに再びウンザリしながらも、人間界へ繋がるゲートに足を運ぶ三人。
その間中も二人の父親の口論は止まらなかったが、ルカは特に気にせず先を急いだ。
どうやら慣れているらしい。