三種族の血を受け継ぐ者
□1:ハジマリ×ト×タビダチ
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「成る程、成る程」
数え切れない程の本棚がある部屋の中で、黒い短髪の少女は納得したかの様に呟いた。
少女の名前はルカ。
神族、魔族、修羅族のアンソリットである。
数千冊は優に超えるであろう本の中から、彼女の両腕にすっぽり納まる大きな本を読んでいた。
彼女の呼んでいる本は、『人間の進化による妄信の移り変わり』という題名のもの。
何故彼女がこんなものを読んでいるのかというと、もうすぐ人間界へ行くからだ。
彼女なりに、人間という生き物を勉強しようと思ったのだろう。感心である。
「ふーん。人間も勝手なモンだなー。何でもかんでも科学、科学。うちらのことなんて迷信の一言で片付けるし」
ルカは綺麗に整った眉を潜め、顔をしかめた。
どうやら怒っているようだ。
「ルカー!!準備出来たかー?」
「なっ!!貴様が何故ここにいる!?」
ドアの向こうから二人の男性の声が聞こえた。
何やら揉めているようだが、どうやら二人共ルカを待っているようだ。
「はーい!!今行くー!!」
大声でその声に答えたルカは、読んでいた本を元の場所に戻し、二人の男性のもとへと急いだ。