ただの生徒会役員ですが、何か?

□3:『九条 凪沙』は調べる必要がありますね。
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「皆、凪沙先輩に近付こうとしないんですよ・・・。だから、凪沙先輩が同性の友達を連れてくるなんてビックリしました」

まだ震えながら葵が言う。
余程珍しい事らしいが、サッカー部の意識が私の役職にしか向かなかった所為で、全く気付かなかった。

「凪沙ちゃんってそんなにヤバいの?見た目は普通に可愛い子だけど」

「外見はな。アイツ、影ではかなりヤバいことしてるって噂だ」

水鳥の眉間に皺が寄る。
先程の暴行発言がかなり頭にきたらしい。
以前からも、九条凪沙の事はあまり好いてはいなかったのだろう。

「要するにだ。外では何やってるか知らねえけど、この学校を裏で牛耳ってるのは明らかだ」

倉間は苦い顔をしながら、これまでの九条凪沙について話してくれた。
いじめ、集団リンチ、脅迫・・・その他諸々を女子生徒全般に行って来たそうだ。
外部のよく分からない人達とも手を組んでいるらしい。

あの外見からは想像もつかない事実だ。
それも、生易しいモノではないらしく、標的にされたら以前の面影もなくなる程、身も心もズタズタにされると言う。

「酷いな・・・。何で誰も何も言わないの?」

「凪沙ちゃんの家がお金持ちだから。告げ口したら、何されるか分かんない」

「証拠を掴んでも、すぐに金で揉み消される」

成る程。大企業の娘か。通りで性格が歪む訳だ。
あ、決して偏見ではないから!!(世間体を気にする)

「その、ターゲットだっけ?凪沙ちゃんの気分で決まるの?」

私の言葉に、葵が過剰に反応した。
納得。だからこの子、さっきからずっと震えてたんだ。

「今回のターゲットは葵ってことか」

「おいっ!!」

「いいんです・・・。私が余計なこと言わなければっ・・・!!」

葵がその場に泣き崩れた。
茜ちゃんは背中をさすって葵を落ち着かせている。
水鳥は怒りを露わにさせ、倉間と剣城君は黙って俯いていた。

聞いた話だと、葵は九条凪沙にマネージャー業の効率について抗議したそうだ。
まあ、ちょっとした意見の対立ってヤツだ。
私から見ても凪沙ちゃんの方が明らかに効率が悪い。
にも関わらず、彼女は自分の意見を無理矢理押し通そうとした。
それに不満を抱いた葵が指摘した所、九条凪沙の癪に障ったようだ。

これで、九条凪沙という人間について新たな情報が加わった。
『自己中心的』だという事だ。
同時に、あまり理性のある性格ではないという事も分かった。
イコール、短絡的思考型。頭に血が上れば周りが見えなくなるタイプだ。

九条凪沙という人格が一つだけ分かったことによって、芋蔓式に彼女の本性が分かってくる。
まあ、これは憶測に過ぎない訳だが、大体はあっているだろう。
アメリカで盛んに行われているプロファイリングと同じ原理だ。
ま、確証はない訳だが。
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