ただの生徒会役員ですが、何か?
□1:何かと頼みごとをされます。
2ページ/4ページ
私こと藤堂七海は、このクラスの会長を務めている。
会長というのは、まあクラス委員長みたいなものだ。
本来適役なのは神童だが、部活が忙しいという理由で断念。
次に適任だったのが私だったという訳だ。
担任の計らいで、生徒会にも入る羽目になってしまった。
生徒会は、三年のクラス全員の会長と副会長、二年・一年の会長代表各男女二名で形成される組織だ。
生徒会長は三年生から決めることになっている。
正直言って、放課後の自由な時間を奪われるのは耐え難い。
それでも、生徒会があるのは月一ぐらいで、多くて月三だからそこまで苦ではない。
「七海ー!!理科室行こー!!」
「オッケー」
綾美に呼ばれ、理科の道具を持って急いで後を追いかける。
六時間目は理科だ。
理科室は何故かほんのり硫黄の匂いがする。
先生曰く、実験をしすぎて匂いが残ってしまったらしい。
濃度は薄いから気にしなくていいそうだ。
「何するんだっけ?」
もっちーが首をかしげながら問う。
「酸化銅の実験。ガスバーナーで炙って酸素を取り出す的な感じのこと言ってた」
「さっすが会長ー!!後でノート写させて♡」
「よし、行くかもっちー」
「おい!!」
いつもみたいにバカやって理科室へ行く。
実験は然程危ないものでもないので、なんの滞りもなく終わった。
今は理科室から教室へ戻る途中。
綾美をディスりながら教室へ向かっていると、不意に後ろから肩を叩かれた。
「七海ちゃーん♪」
「あ、凪沙ちゃん」
九条凪沙だった。