キッキング☆ガール

□1:極道の娘って大変だ・・・。
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そんなこんなで、大都市へやって来た次第である。
前に住んでいた家同様・・・いや、それ以上の大豪邸が建っていた。
大豪邸と言っても、一般に言うヨーロピアンハウスなどではなく、如何にもといった感じの和風建築である。
言うなれば、平安時代の貴族が住んでいた寝殿のような屋敷だ。

父は和をこよなく愛する人で、今は刀集めにハマっているらしい。(少なくとも実際に使う気はないようだ)
床の間にはいつもお気に入りの刀が飾られている。

前に一度、真剣かどうか確かめるため、刃先にティッシュを落としてみた。結果、独りでにフワフワと落下していったティッシュは、音も立てずに真っ二つとなった。
それ以来、刀には絶対に近付かないようにしている。(誤ってスパーンなんて笑い事で済まない)

反対に、母は洋風を好んでいる。
和風の部屋には似つかわしくない洋風の家具が多数あり、中でも母が一番気に入っているのはドレッサーだ。
小さい頃に悪戯をして、普段滅多に怒らない母が激怒したことを鮮明に覚えている。懐かしい記憶だ。・・・トラウマであることを除けば。

「ご飯食べ終わったなら歯磨きしてきなさい」

「はーい」

食器を下げながら、優しく言う母に従う。今日はこれといって用事はないが、確か採寸に行った制服が届く日だ。

「お嬢、制服届きましたよ!」

金髪のリーゼントヘアを自慢気に揺らしながら、自称私の弟子である龍平がやって来た。無論、弟子なんてとった覚えはない。

「あ、ホント?ありがとう。歯磨き終わったら行くね」

そう告げて洗面所へ向かう。
龍平は律儀に頭を下げて、私とは反対の方へ行ってしまった。
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