世界存続の鍵を握る少女

□1:幕開け
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「いってきまーす!!」

「いってらっしゃい」

勢いよく新築の扉を開け、朝の空気を胸いっぱい吸い込んで走り出す。
今日は私が雷門中に初めて登校する日だ。
お父さんはというと、仕事が朝早いらしく先に朝食を食べて出て行ってしまった。
娘の初登校を見送ることが出来なくて、泣く泣く出勤して行ったらしい。(母談)

家からはそう遠くないらしく、道のりは昨日地図で確認したのでなんとか覚えた。
確か、一つ目の十字路を右に曲がって真っ直ぐだ。
そしてそのまま突き当たりまで直進。
川原が見えてきたらそれに沿って歩けとのこと。

「うわぁ!!退いて退いてー!!」

と、後方から凄い勢いで何かがこちらに向かってくる音がした。
瞬間、誰かの雄叫びと共に私の体は地面とこんにちはした。

「いったー・・・」

「ご、ゴメン!!立てる?」

ぶつかってきたのは男の子だった。
特徴的な髪型をしている。
どうなってんの、その頭。

あ、ていうか、コレって運命的な出会いじゃない?
ヒロインが主人公とぶつかって「キャッ、ごめんなさい(照れ)」みたいな。
これで食パンとか銜えてたら理想的なのになぁ。
・・・・・・冗談です。

「俺、松風天馬。雷門中一年だよ。君の制服も雷門のだよね?でも、見たことないなー」

「私は藤堂七海。今日から新しく雷門中一年として転校してきたんだ。ヨロシクね」

どちらともなく握手を交わす。
松風君は「俺のことは天馬でいいよ」と言ってくれたので、「私も七海でいいよ」と返した。
人懐っこそうな子で安心した。
これで「ヤクザの息子です」とか言われたら即行で病院送りだ。

「時間、大丈夫?」

「ん?・・・ああああ!!いっけない、朝練あるんだった!!ゴメンね、七海!!また後でーっ!!!!」

私が時間のことを聞くと、天馬は慌てて去って行った。
台風みたいな子だなぁ・・・。若いっていいなぁ・・・。

朝練ということは部活動だな。
特に入る部活も決めていないし、登校時間を利用して絞っておこう。
帰宅部があれば直行で入部届け出しに行こう。





部活のことを考えながら登校していたら、もう学校に着いた。
着いた途端に周りの視線が一斉に体に突き刺さる。
そりゃあ、女子が全然いないんだから妙に思うのは当たり前か。

取り敢えず、職員室に向かわなければいけないので、道中人に聞きつもなんとか辿り着くことができた。
ノックをして「失礼します」と言い職員室に入る。
先生だけの特権・・・コーヒーの香りが部屋に充満していた。

「あ、転校生の藤堂さんね?私は担任の永井といいます」

「宜しくお願いします」

永井先生に連れられて、私が入るクラスへ移動する。
軽く校舎の案内をされつつ、目的の教室に着いた。
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