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□憧れの人
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午前の授業を終え、食堂にやってきた雫と里香。
彼女達の目の前には、高級フレンチレストランを彷彿とさせる空間が広がっていた。
言わずもがな、跡部景吾の仕業である。

「莫大な寄付金を学校に送ったのは聞いてたけど、ここまでとはね」

「里香さんや、ここは何処かね」

軽くパニックになっている雫を尻目に、里香は慣れた手付きで昼食を食べ始めた。
雫も里香に続いて席に座り、庶民丸出しの手付きで料理を食べ始める。

「お、美味しい・・・!!」

「流石ね。上流階級の味を分かってるわ」

「お金持ちって凄いんだね・・・」

「あ、跡部君」

里香が指を差した方向には、女子に囲まれた跡部の姿があった。
群がる女子の目は皆ハートである。

「初日から凄いわね〜。私も負けてられないわ」

「ガンバレー」

「応援する気ゼロでしょ。あ、そうそう。今日はテニス部あるの?」

「あるよー。メッシュに絶対来いって言われたー」

「あらそう。大変ね。一緒に帰ろうと思ってたのに」

この時、雫の脳内は高速に働いた。
里香と一緒に帰るという事は、即ち、里香の家でお茶会が出来るという意味も差す。
里香の家で食べるクッキーと紅茶は格別なのである。
そして、彼女の脳内天秤に部活とティータイムが掛けられた。

「やっぱり部活は…」

「出ないさいよね。アンタ、一応部長でしょ?」

「うっ・・・」

「ったく、私とお茶飲むくらいならいつだって出来るわよ」

「里香・・・!!」

里香の懐の広さに、感激した雫であった。






雫は『男子』テニス部の部長をやっている。
彼女が先ほどメッシュと呼んでいた人物は、その副部長である。
何故彼女が男子テニス部の部長をやっているのかというと、ただ単に強いからだ。
その強さは日本テニス協会の重役ですら認めるほど。
最早、彼女は全国的に有名な強者テニスプレイヤーである。

しかし、彼女自身あまり表に出たがらないため、その情報は極僅かの人間しか知らない。
故に、氷帝テニス部を陰ながら支える存在になりつつあるのだ。

「さてと、そろそろ行きますかね」

「いってらっしゃい。頑張ってね」

雫は里香と別れ、女子更衣室でテニスジャージに着替えてコートへ向かった。
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