ヒーローと私の日常

□6:ぶっとんだ日常
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サイタマがジェノスさんの方へ向かって数分後、破壊音や爆発音等の凄い音が響いた。
何事かと思って行ってみたが、二人とも忽然と姿を消していた。
あるのは飛び散った肉片と、倒れているゴリラと、地面に頭を減り込ませた何か。
玄関前に至っては、その原型を留めていない。

シュールなその光景に呆然としていると、不意に首筋を電流が走った。
あれ、コレもしかしなくても倒れるパティーンじゃね?












妙な機械音で意識を取り戻した私は、重たい瞼をゆっくりと開いた。
まず目に入ったのは、ドラ○ンボールにでも出てきそうなカプセル。
その中には見たこともない生物であろう何かが浮いている。
それが二十体くらい並んでいる様を見て、嘔吐感がない人は人間じゃないと思う。

もう少し周りを見てみようと動いたその時、初めて手足が拘束されていると分かった。
無駄に近未来的な拘束器具が何か腹立つ。
外れないかと思って必死に手足をバタバタさせて見たが、焼け石に水だった。

「お目覚めか?」

完全に一人だと思った私は、いきなり話しかけられて心臓が飛び跳ねた。
如何にも此処の責任者みたいな男の人は、眼鏡を押し上げて怪しげな表情を浮かべている。
ていうか、今まで何処にいたんだこの人。影が薄すぎないか。

「君には悪いけど、ちょっとした切り札になってもらうよ」

不敵な笑みとコンピュータの光で益々怪しく見えるその人。
絶対マトモな人だったんだろうな、と哀れみの目を向けると、何を勘違いしたのかその男は顔を赤らめた。
気持ち悪いんだけど、ニヤニヤしないでほしい。

「ま、まぁ、痛いようにはしないさ。行く行くは此処で僕と二人・・・・」

おっと。これは私の貞操が危ないぞ。
絶対この人アブノーマルなプレーが好みだろうな。
まず、拘束器具を持っている時点で普遍的でないのは明々白々だ。

「そこで待っていなさい」

自分の世界から帰って来たその人は、咳払いをした後にそう言って去って行った。
そういえば、此処に来てから一言も喋ってないな、私。
折角だから何か言おう。

「・・・・・ひつまぶし」

食べたい。
 

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