ヒーローと私の日常
□3:新たに始まった日常
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サイタマの住んでいるZ市は、怪人の出現率が尋常じゃないらしい。
その所為もあってか、Z市の多くは廃ビルだらけのゴーストタウンに成りつつあるのだ。
「廃ビルばっかり・・・」
「そりゃな」
「食料調達とかどうしてんの?」
「普通に歩いてスーパー行く」
アパートから三十分程度歩いた所に、デカくはないがそれなりに品揃えの豊富なスーパーがあるそうだ。
ていうか、サイタマは車に乗らないのかな。
「ねぇ、サイタマって車乗らないの?」
「ンなモン俺が走ったほうが速い。それに、こんな舗装の悪い道で走ったら、すぐにタイヤがダメになんだろ」
確かに車よりサイタマの方が速そうだ。なんたって最強のヒーローなのだから。
「それに金がねぇ」・・・・本当に最強のヒーローなんだろうか。
「・・・私の面倒見て大丈夫なの?」
「だから心配すんなって!!大人ナメんなよ?」
明らか無職の男性に言われても説得力がない。
この人、今まで何をしてお金を稼いできたのだろう。
やっぱり、歳を誤魔化して私も働こうかな。
「内職ぐらいなら何とかなるかな・・・」
「アホ。ガキが仕事のことなんて心配すんな。俺が大丈夫っつってんだから、お前は遊ぶの仕事にしとけ」
「・・・はーい」
幾らなんでも甘え過ぎではないか。
でも、サイタマがそう言うなら何も考えずに家の仕事だけでも私が請け負おう。
「着いた」
「おぉ〜・・・」
四、五十分歩き続け、都心の大型ショッピングモールにやって来た。
コレ、何処の会社だろうか?イ○ン?ア○タ?
そもそも、あっちとこっちの世界ではこういう企業の名前とかも違ってくるのだろうか。
MITS○BISHIとか、マク○ナルドとかもないのかな。
「よし、じゃあまずは布団買いに行くか。ニ○リでいいか?」
普通に同じだった。