ヒーローと私の日常

□1:壊れてしまった日常
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神様の気まぐれ、とでも言うのだろうか。
何故私がこんな目に遭わなくてはいけないのだろう。

大した悪行も働かず、至って平凡に暮らしてきた筈なのに。
神様とは実に無慈悲で残酷なものだ。

私はこんな状況に貶めた神様を絶対に許さない。
一生恨み続けるだろう。









「早く行こー‼︎」

「ちょっと待ってー‼︎」

玄関で靴を履き終えた私は、未だに鞄の中身をゴソゴソしながら用意をしている母を急かした。

「ねー、まだー?」

隣にいる弟、陸も母を急かす。
ウチの母親は出掛けるとなるといつもこうだ。

「ゴメン、ゴメン!!行こっか」

「もー。折角の休みなのにさー」

「そんな硬いこと言わずに、さー、出発進行ー!!」

意気揚々と飛び出して行く母に続き車に乗り込む。
今日は大型デパートへ買い物に行く予定だ。その後、カラオケに行って思う存分ストレスを発散しに行くというプランだった。
他愛もない会話をしながらデパートに向かって車が走る。

「カラオケの予行練習‼︎」なんて言って歌い出す母親と、それを見ながら一緒に歌う弟。
何処にでもあるような、平和な一般家庭の日常。
私はこんな穏やかな日々が大好きだ。
それが、突然…………。
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