ただの生徒会役員ですが、何か?

□4:サッカー部はあまり好きではありません。
1ページ/3ページ

暫くして、凪沙ちゃんを追いかけた人達が戻って来た。
残念そうな顔をしている事からして、恐らく逃げられたんだろう。
サッカー部の面々にとって、九条凪沙とはそれ程大事な存在なのだろうか。
凪沙ちゃんの仕事ぶりや活躍を知らない私からすれば、外見だけに惑わされているように見える。

「ねえ、取り敢えずこの場を借りて挨拶していい?私の事知らない人もいるだろうし」

場違いなのは承知の上だ。
でも、だからこそ、この嫌な雰囲気を今すぐ変えたかった。
あと、もう一つは・・・・。

「ああ、頼む」

促してくれたのは神童だった。
教室にいる時の凛々しい雰囲気とは反面、落胆の感情が伺える。
多分、この中で九条凪沙に特に固執しているのは、霧野と神童辺りだろう。

「二年、藤堂七海。神童や霧野と同じクラスで、生徒会役員をやっています。凪沙ちゃんの代わりで来ました」

最後の一言に、一部の人が反応した。
霧野に至っては、私の事をこれでもかという程睨みつけている。
タブーなのは分かっていたが、こうでもしないともう一つの目的を果たせない。

「まあ、そう怖い顔すんなって。私は代わりであって、アンタらの『いざこざ』にとやかく言うつもりはないから」

すっかり葵の味方側だと思われていたのだろう。
中立的な立場だと言ったら、凪沙ちゃん側の人達は心底驚いていた。

そう、これが私のもう一つの目的。
さっき葵を庇った事で、葵側だと思われていた先入観を消す事。
その場で強く否定しなかったのは、凪沙ちゃんの本性を知らなかったのもあるが、皆頭に血が上っていて冷静な判断を出来ない状態にあったから。
どれだけ的を射った答えをしても、頭に残らなければ意味がない。

「あ、先に言っておくけど、生徒会と被った時はそっちを優先するから、そのつもりで。ま、これから仲良くしてねー」

結構親しみを込めて言ったつもりが、全く気持ちが篭っていなかった、と水鳥に言われた。(後日談)
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ