ただの生徒会役員ですが、何か?
□1:何かと頼みごとをされます。
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「えー、で、あるからしてー」
社会科教師の声を聞きながら睡魔と闘う。
五時間目の社会が一日の中で一番眠たい。
というのも、コイツの声はのろーんとしていて、僅か数秒で睡魔が襲ってくるからだ。
なんというスキルだ。教師にあってはいけないモノだろう、と常々思う。
昼ご飯の後となると尚更だ。
周りを見回すと、睡魔に負けているヤツがチラホラ。
私の友達であるもっちーはもう夢の中。
綾美は何とか意識を保っているみたいだ。
クラスの殆どが眠たそうにしている中で、唯一、ボンボンワカメ君だけはしっかりと目を開けていた。基、神童拓人。
髪の毛にウェーブがかかっていて(私にはワカメにしか見えない)、お金持ちのイケメン君だ。
(流石秀才。サッカー部のキャプテンだもんなー)
サッカー部には何故かイケメンが集結している。
必然的にファンクラブというものが出来上がる訳で・・・。
このクラスにはそんなサッカー部が二人もいる。
霧野蘭丸だ。
霧野は机に突っ伏して爆睡している。
周りの女子はそんな霧野の寝顔を見て、必死に鼻血を堪えていた。
「じゃあ神童ー、藤堂。この問題やってみろー」
社会科教師も眠っているヤツのことはもうどうでもいいようだ。
比較的授業をきちんと受けていた(自分で言うのも恥ずかしいが)私と神童を指名してきた。
とは言っても、私だって眠いものは眠い。
先生にバレないように、欠伸を一つした。
「バテレン追放令です」
「正解だ。その内容は?」
「幕府の方針に反しているキリスト教の侵食を恐れた秀吉が、キリスト教を国内から排除するために作った法令です」
「うむ、完璧だ。座ってよし」
流石秀才V2。見事な答えだ。
でも、私だって負けてはいない。
「からかさ連判状です」
「正解だ。では何故、このような円形に名前が書かれているのか分かるか?」
「一揆を企てようとした農民の主犯格を分からなくするためです」
「よろしい、完璧だ。座ってよし」
座ってから綾美の方を見ると、最早限界だったのか、夢の中へと旅立った後だった。