キッキング☆ガール

□4:各学校へ行こう!!
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生徒会に入る手続き云々は書類一枚で終わった。
こんな薄っぺらい紙一枚で権限が使えるのかと思うとゾッとする。
まあ、使える特権の中で私が特に惹かれたのは授業免除な訳だが。


私立明桜学院中学校。
聞こえは良く、頭の良さそうな生徒が通う所に思える。
が、実際は裏社会を見て育ってきた生徒がわんさか集まる所だ。
必然的に偏差値も下がる。

英才教育とまではいかないが、私も一極道の端くれ。
世の常識を小さい頃から叩き込まれている。
故に、明桜の授業は受けなくても然して支障は無い訳だ。

しかし、特権に甘んじるのも余り良くない。
今後は適度に権限を使いつつ、表面上は良い子にしていようではないか!!

「自己陶酔論は終わったか」

「え、エスパー・・・!?」

「いや、お前フツーに口に出してたぞ」

「五十嵐さんにまで突っ込まれるって・・・」

「俺を莫迦にしてるだろ!?」

だって莫迦だもん・・・っと。
ここまでは口が裂けても言えない。
取返しのつかないことになる。
・・・もう失礼な事言っちゃってるけども。

「ていうか、その『五十嵐さん』っていうのやめてくれよ。何かむず痒い」

「じゃ、瞬さんで」

「おう!!」

「そんなことより、そろそろ今回の件、話した方がいいんじゃないですか」

フィディオさんが真剣な顔つきで言う。
そうだった。入ったは良いものの、何をするのかまだ聞いてなかったな。
面倒な事に変わりは無さそうだけど。

「今回の山はデケーからな。瞬さんがいても、やっぱり手に負えないっスよね」

「ああ。勇や翔にも生徒会に入って貰った訳だが、まだ戦力が足りねえ。そこで、七海を誘った訳だ」

早速呼び捨てな件について。
まあ、別にいいけど!気にしてないけど!
ていうか、話が全く見えないんだが。

「その、山っていうのは?」

問いかけると、古谷さんが胸ポケットから一枚の写真を取り出した。
血だらけになった三人が、壁に凭れて気絶していて、その壁には『All the world's a stage』と書かれている。

「これは・・・?」

「三人共、明桜の生徒だ。ここ二週間、似たような事件が相次いでいる」

「All the world's a stage・・・世界は全てお芝居だ」

流石帰国子女。英語に強い。
これはかの有名なウィリアム・シェイクスピア作の著名な喜劇、『お気に召すまま』のワンフレーズだ。
しかし、何故この言葉を残したのか謎だ。

「この襲われた生徒は?」

「今は病院で治療中だよ。全身をバットで殴打されてる。多分、複数犯だと思う」

「学校側もこの対策に追われてんだとよ」

眉間に皺を寄せながら言う風貌も、似ている。
流石は双子!!息ピッタリだな。
一卵性双生児か?

「もう一つ情報がある。この集団、『ache』と名乗っているらしい」

「『ache』・・・!?」

「どうした。聞き覚えがあるのか」

『ache』・・・痛み。どうやらこの連中は英語が好きらしい、と前に一度思った事がある。
何故なら、組の奴が『ache』と名乗る奴らに襲われた事があるからだ。
この写真と同様、壁に『Some people feel the rain. Others just get wet(雨を感じられる人間もいるし、ただ濡れるだけの奴らもいる)』と書かれていた。

何故その時点で気付かなかったのだろうか。
共通点は沢山あった。
という事は、裏社会の連中を狙っている可能性が高い。

私はこの事を瞬さん達に話した。

「そうか・・・。やっぱりお前を入れて正解だったな!!」

「瞬、そんなに明るい話題ではないぞ」

「わーってるって。この事件を抱えているのは、きっと俺達だけじゃない。・・・アイツらにも召集をかけよう」

アイツら・・・とは一体誰の事だろうか。
入ったばかりでは知らない事が多すぎる。
加え、満足な説明すらしてくれない(恐らく出来ない)瞬さんだ。
情報は皆無と言ってもいい。

「ま、他校の協力も必要って事っスね」

「ちょっと先が思いやられるけど、仕方ないか」

「僕、こういうの結構好きなんだよね!!なんか、謎解きみたいで楽しい!!ねえ、勇!!」

「落ち着けよ、翔。はしゃぎすぎだ」

ダメだ、各々が各々で喋りすぎて一切理解出来ない。
この生徒会、こんなのでよく形成を保ってるな。
統率というものがまるで感じられない。

「よし、決まりだな。じゃ、早速行ってもらうぜ!!」

「えっ、何も分かりませんけど!?」

「安心しろ、後で教えてやる」

古谷さんはオカンで決定だな。
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