キッキング☆ガール

□2:私立明桜学院中学校
1ページ/5ページ

「(大丈夫・・・大丈夫・・・!!)」

登校中、只管自分にそう言い聞かせた。
まさか明桜が男子ばかりの荒んだ学校だなんて思ってもみなかったからだ。
父に聞いても、「父さんの母校でもあるから大丈夫」の一点張り。寧ろ貴方の母校だから危ない。

母に至っては、「お父さんとお母さんの出会いはね…」なんて言って若い頃の惚気話をする始末だ。
私は悟った。「自分を守れるのは自分だけだ」と。そして、「填められた」と。



喧嘩が強い。そう周りからは称される。
勿論、蹴り技に関しては自負している。
しかし、欠点や改良点がまだまだ多いのも事実。
喧嘩が強い、と言われるレベルにまでは達していないと思っている。

私より強い人は世の中に数え切れない程いる。
日々鍛錬・・・というまでにはいかないが、自分なりに特訓はしているつもりだった。

私の蹴り技が明桜で通じるのかどうか。不安は絶えなかったが、私は一つ良いことを思いついた。
「誰からも、近寄りたくないという印象を与えるような外見にすれば、極端な話、誰も近付いて来ないのではないか」と。
あまりこういう言い方をするのもどうかと思うが、所謂地味子作戦といったところだ。


まずは前髪をキッチリと真ん中で分け、地味子定番のお下げ髪にする。
無論、ゆるふわなどという要素は一切ない。一房、一房しっかり結わえる。

次に、宴会芸で使うような渦巻きの模様が入った眼鏡を着用。(度は入っていないものを使用)見えにくいが仕方ない。
そして、スカートは膝下十センチをキープ。
靴下は白。踝が隠れるくらいのものが丁度良い。
正にザ・地味子を演じつつ、明桜へ向かっていた。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ