白昼夢2
□変わったもの。
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イシュバールに関する書類の日付をみるとあれから何年も経ったのかとイーノックは感じた。
「大それたこと、するんじゃないぞ。」
「分かってますよ、分かってはね。」
星が埋め尽くす砂漠の夜。
これがキンブリーと交わした最後の会話だった。
まさかあれを最期にあんなことになるとは思いもよらなかったが。
イシュバールの帰りの列車ではアンジェリンが一言も話すこともなく、抜け殻になってしまっていた。
アンジェリンはキンブリーのそばについていたためショックは大きかっただろう。
いたらいたで何かと騒がしかったキンブリーがいなくなるとやはりさみしいものがある。
執務室の窓から鳥が飛んでいくよく晴れた空をイーノックは眺める。
あの日以来、自分たちの環境は大きく変わった。