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□雪の音
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雪の音
コンビニを出ると先程まで小降りだった雪が、少し強くなっていた。
その分寒さも増し、ブルっと身震いした。
そんな私の横で、銀ちゃんは嬉しそうにあんまんを見つめる。
それでも繋がれた左手を離すことはない。
それがなんだか嬉しくて、ぎゅっと握り返した。
銀ちゃんは、ん?と顔こちらに向けたが、私はなんでもないと返した。
あんまんを食べ終え、積もった雪道を傘をさして歩く。
歩きづらさにはぁ、と盛大な溜息をつく銀ちゃんを見つめる。
その口元の横に、あんがついているのを見つけた。
「あんこ、ついてるよ」
「ん?あぁ。」
手を伸ばし、口元を払った時、銀ちゃんと目が合った。
急に真剣な顔をする銀ちゃんになんだか笑ってしまう。
「なんだよ」
ちょっと拗ねる銀ちゃんが可愛かった。
「小梅」
また真剣な眼差しを私に向ける。
「こういうのも、悪くねぇな」
合わせた視線を逸らすことなく、時間を取り零さないように。
繋がれた手の温もりが心地よくて、私はまた小さく微笑った。