書庫

□雪の音
1ページ/1ページ

雪の音



コンビニを出ると先程まで小降りだった雪が、少し強くなっていた。

その分寒さも増し、ブルっと身震いした。


そんな私の横で、銀ちゃんは嬉しそうにあんまんを見つめる。

それでも繋がれた左手を離すことはない。

それがなんだか嬉しくて、ぎゅっと握り返した。

銀ちゃんは、ん?と顔こちらに向けたが、私はなんでもないと返した。



あんまんを食べ終え、積もった雪道を傘をさして歩く。


歩きづらさにはぁ、と盛大な溜息をつく銀ちゃんを見つめる。

その口元の横に、あんがついているのを見つけた。


「あんこ、ついてるよ」

「ん?あぁ。」

手を伸ばし、口元を払った時、銀ちゃんと目が合った。



急に真剣な顔をする銀ちゃんになんだか笑ってしまう。

「なんだよ」

ちょっと拗ねる銀ちゃんが可愛かった。

「小梅」

また真剣な眼差しを私に向ける。

「こういうのも、悪くねぇな」


合わせた視線を逸らすことなく、時間を取り零さないように。

繋がれた手の温もりが心地よくて、私はまた小さく微笑った。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ