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□ケロロ(ケロ→タマ)
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「であるからして、タママは簡単にかわいい♡ なんて一言で済ませられないのであります!」
「さっきと言ってること違うじゃない...」
「黙らっしゃい! 夏美殿はタママのことをちゃんと分かってないのであります!!」
そう言って、また語り出すボケガエル。初めは興味を持って聞いてた話も、さすがに延々と繰り返されれば疲れる。でも珍しく気迫あるボケガエルに圧されて、何となく逃げられない。ハァ、とこっそり溜息をついて、まだ続く話に相槌を打った。
桃華ちゃんとタママが帰った後、リビングを軽く片付けているボケガエルに私は何気なく話しかけた。
「タママってさあ、大人しくしてれば結構かわいいわよね〜」
本当に何気なく、だったのに!
大人しくしてれば...? 結構かわいい...? ボケガエルは手を止めてブツブツと呟いたかと思ったら、鬼気迫る顔でバッと振り向いた。そして、長いタママ談義が始まった。
「ヤツもあれだけ顔が良いもんでありますから、コロッと騙される輩も多いんであります。 しかし! それが命取り!」
「もう勘弁してよ〜...」
とうとう半泣きになってきた頃、
「つまり、タママには一言では表わせられないくらい色んな魅力があるって事だよね、軍曹」
いつの間にかリビングに来た冬樹が口を挟んだ。
馬鹿ね、今のコイツには何言ってもムダよ。
そう思いつつちら、と様子を伺った。ボケガエルは目を丸く開いて、ぽかんと口を開いて止まっていた。初めて、話が止まった!
「ナ、ナイス冬樹! やるじゃない」
「軍曹の話すところ見れば、分かるよ。 大好きなんだね! タママのこと」
冬樹は固まるボケガエルにニコッと笑いかける。なかなか大胆な発言だと思ったけど、もちろん冬樹に気づいてる様子はない。
さっきと一転、静かになったボケガエルに私はニヤニヤとした笑いを隠さずに声をかけた。
「これは一本、取られたわね? さ、大好きなタママのこと、もっと話してもいいのよ」
「なっ...あ...っ、わ、我輩は、隊長として.....」
「何よ、はっきり言いなさい」
言葉が尻すぼみに縮むボケガエルに、最後の追い討ちをかける。
「うっ、え、えっとその〜.....うわあああ! 冬樹殿のバカー!! でありますー!」
「えっ!? ちょ、ちょっと軍曹ー!」
言い残して逃げるボケガエルと慌てる冬樹の様子に、とてもおかしくなった。ふふ、と思わず笑いをこぼして、次にタママと桃華ちゃんが来る時が楽しみだと密かに思った。