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□ギロタマ
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 重い荷物に気を取られながらも、視界にちらちらと飛び込むソレにギロロは目が離せないでいた。若さの象徴である、張りのある瑞々しいしっぽ。ソレはタママが歩を進めるのに合わせて揺れる。
ギロロにしっぽフェチ、なんて変態的な嗜好はない。初めはすぐ目の前で揺れるソレがつい気になってしまっただけだった。だが、それから意識を逸らす事がなかなか出来なかった。
振り払うには、その白いしっぽはタママの濡れたように光る黒い肌に、余りにもよく映えた。

「うおッ!?」

ギロロの遠くに飛んでいた意識を、急な刺激が連れ戻した。まさに今まで見つめていたそのしっぽが、腿の辺りにぺちん、と軽く当たったのだった。

「...ッ」

少しでも、部下に邪な事を考えてしまったから罰が当たったのか。
恥ずかしさと情けなさでギロロは顔を赤らめたが、これで目が覚めたと気を取り直し前を向いた。しかし、すぐにその歩みは止まってしまった。

「オイオイなんだよ〜」
「うわっ! いきなり止まらないでほしいでござる!」

後ろからの非難の声も、今のギロロには届かない。
ニィ、と悪戯っぽく笑ったタママが、振り返ってギロロを見ていた。

「な...な...っ!!」
「もー、ギロロ先輩ったら、見すぎですぅ」

呆れた口調のタママだったが、声は非常に愉しげだった。ぱたぱたと振られるしっぽに、自分の葛藤などは筒抜けで、見越した上でからかわれたのだと気づきさらに顔を真っ赤にさせた。

「タッ、タママ! お前という奴は!」
「チョットぉ〜ギロロ! 仕事中に何やってんの。 部下にセクハラとかやめてよね!」
「き、貴様にだけは言われたくないっ!!」
「何をぅ!?」

たちまち言い返してくるケロロとギロロの間で、なおも楽しそうなタママは小さく口を動かした。

『むっつりさん』

ギロロはふっくらとした唇の動きを追いその言葉を理解すると共に、とうとうこれ以上ないばかりに熱い顔を俯け閉口した。



 

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