弱虫ヒーロー

□爆豪勝己
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おはよう。
今日も幼稚園だ。


私の名前は名無しの名無し
前世の記憶を持つ元OL。
今は幼稚園生やってます。


「おはよう!名無し!」


眩しい笑顔で挨拶をして来る彼。緑谷出久。
私の初めての友達であり、ヒーローを目指す夢ある少年だ。
少年よ大志を抱け。


「今日ね、ヒーローごっこしに公園に遊びに行くんだ!
名無しも一緒に行こうよ!」


おーヒーローごっこか。子供らしい遊びだ。
やっぱりヒーローになりたい出久はこうゆう遊びは好きなのかな?
ちょっと行ってみたいな。


「あ、でも僕だけじゃなくてかっちゃんもいるんだ。かっちゃんていうのは僕の友達で......名無し!?」


前言撤回、他に人がいるなんて無理だ。
でもそりゃそうだ、出久にだって私以外の友達は居るしヒーローごっこなんて一人でできる遊びじゃない。
大人数でやる遊びだが、今まで友達の輪に入っていけなかった私はそのかっちゃんとやらと話せるかどうかも分からん。
私はチキンなのだ!


「わわわ!大丈夫だよ名無し!かっちゃんは何もしてこないし名無しは居るだけでいいからさ!」


ええい!離せ出久!
私には無理だ!誰かと会話するなんて!
前世でも友達0のコミュ障だったんだぞ!


「本当に居るだけでいいからさ!
お願い!一緒に来てよー!」


涙目になりながら出久が腰にしがみついてくる。
これは傍から見れば振られて捨てないでー!って言ってる女々しい男にしか見えない。
ずるずると出久を引きずりながら私は歩く。
重い...。


「じゃあ来てくれたら癒し系ヒーローもこみちのストラップあげるよ!好きでしょもこみち!」


引きられながらも出久は交渉にでる。
もこみちだと...卑怯だぞ出久!
もこみちとは癒し系のヒーローでその名の通りもこもこしたコスチュームを纏うゴリゴリな男だ。
もこもことした姿のマッチョは気持ち悪いと思うが意外とギャップ萌というものがあり人気の高いヒーローだ。
必殺技のもこもこラリアットは一撃必殺の威力を持つ。


「よし来てくれるね!じゃあ幼稚園終わったら公園に集合ね!」


仕方ない、もこもこストラップを貰ったら適当に見て帰ろう。
そう思った私だが後に後悔するだろう。
出久の言っているかっちゃんがどんなに悪魔的な奴なのか、この時の私は知るよしもない。
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