小ネタ収録場所。
◆白いキャンパスに描く鮮やかな未来を。 





白いキャンパス。
白いままの紙。








「ふざけてるのか!やり直せ!」




美術教師ってのは温厚なヤツがなるもんだと思ってた。




ハ。と小さく溜息を吐く。





「何だよテキトーに描けば良いじゃん」


一面を青く塗って『空』と言い張って提出した黒木が覗き込んで。



「珍しいな、お前美術だけは真面目にやんのによ」



同じく、緑を一面に塗って『草原』と言い張った十文字。





「来ねぇんだよ。」

「はぁ?」

「描きたい構図と描きたい色彩と手がピタリと噛み合う瞬間が。何か、降りて来ねぇ」

「はぁああああ?」




分からんのか。何故分からん。
好きなんだよな。絵を描くのは。一面の用紙が自分の好きな世界に出来る。それが。
なのに何でだろう。
今は、真っ白いこの状態が完成型に感じるんだ。




「…俺には才能なんか無いんだ…」

「何だか、トガ今日面倒くせぇな」

「はぁ!?黒木、言いたいことは同じだが、そーゆーことは思ってても口に出すんじゃねぇよ」

「お前もだ、十文字」




睨めば、ヘラヘラと笑う2人。




「じゃあ、白く塗って『雪』、で良いんじゃね?」





雪。










「………」
















「………戸叶、単位要らないのか?」




再度提出した紙は、真っ白で。




「真面目に描きました。よく見て下さい」




訝しむように、じーっとその用紙を見つめる教師。




「…………」

「…………」




白い絵の具で、ハラハラと山肌に積もる雪。
全て、白。








「………」

「…………他ので色を付けるという選択肢は無かったのか?」

「雪は白いもんで、例えば雪の積もる日本家屋とか、山頂だけ積もる山とかそういうをじゃダメなんスよ。」


本当の白銀世界。一面が真っ白で。





「…流石にこれじゃ単位はやれん。そこのりんごでも写生しておけ」

「へーい」

「……ま、……お前のそういうトコ、アーティストみたいで嫌いじゃないがな」

「どーも」







誉められたと受け取って。
もらったりんごを一口かじり、白いキャンパスに向かった。





【おわり】

2010/10/14(Thu) 00:14 

◆不自由をしたことはないが、満たされたこともない。 




「だから言ってんだろぉが。俺が11人居れば勝てるって」




いつも吐いていた言葉。
嘘ではない。ちょっとばかし一芸に秀でたカスが集まるより、俺がいっぱい居た方が良いに決まってんだろ?




「な、まもりちゃん?」



マネージャーの肩を抱くと、やんわり離された。釣れない女もなかなか良い。まぁ、本気出して口説くのは面倒だが。


「俺がアメフトやってることに感謝しろよ」

「えぇ。阿含君、アメフト好きだもんね」




「あ゙ぁー?」

「確かに阿含君って凄いわよね。足も早いし、身体付き、反射神経、バネもある。一人で何でも出来るもの」

「当然だ」

「それでも、アメフトを選んだんでしょう?個人種目なら多分、阿含君に敵う人はそんなに居ないのに」



ふわりと。






「さぁな」



肩をすくめて立ち去れば、彼女は気にも止めずに仕事に戻る。






なかなか。







「おい、十文字」

「あ?何だよ先輩」

「お前、あの女に惚れてんだろ」

「…………はぁっ!?」

「お前にゃ勿体ねぇ。諦めろ」

「………………」



突然の俺の言葉に驚きか羞恥か怒りか。恐らく全てで顔が赤くなる。
そして小さく息を吐き出して。




「………アンタにもな」



精一杯の抵抗が、やけに核心を突かれて。




「俺は女に困ったことねぇよカス」




笑いながらヘルメットを装着した。






【おわり】




まも姉とアゴンヌ+モンジ
前半と後半は違う小説だったけど混ぜた。どっちも半端なので、結果ワケワカラン。お前には似合わないと言われるためだけにモンジ登場。カワイソウだ。



2010/10/12(Tue) 22:52 

◆夢じゃなく、いつか本当にそう笑ってくれるんじゃないか。そう期待して。 




だからー!聞いてくれよっ!笑ったんだ。ふわっと。皮肉っぽくもなく、呆れてでもなく。爆笑でもなく。
薔薇みてぇな派手なキレーさだと思ってたんだよ。そーじゃなくて、なんつーの?カレン?そーそー可憐な感じで目を細めて口元を綻ばせて、ふわって!ふわって!!
つーか正直んな顔見たことねぇっつーか想像すらしたことねぇんだけどよ。あれ見たら何かもー可愛くて可愛くて仕方ねーんだよ。普段のギャップ?ハマる。マジハマる。いつもの凛とした立ち姿も良いけど、あの上目遣いはヤバい。マジでヤバい。




「………あたしの記憶が確かなら、あんたとこうやって向かい合って話すの初めてなんだが」

「はぁああああ!?…あーまーそーかもなー」

「……いつ、あたしがあんたに向かって微笑んだ?」

「一昨日?」

「…覚えがねぇ」

「そりゃそーだ」

「あ?」

「だって夢だもん」

「…………………」

「つーワケで。惚れたので付き合って下さい」

「……………………」








【おわり】



夢で見た彼女を好きになったというお話?夢に出るっつー時点で潜在意識下では好意を抱いているのではないかというか。
夢に出て来て意識し始める恋もあって良いじゃないか。つーか説明が長い。
再び黒メグブーム到来。誰か書いて下さい…


2010/10/06(Wed) 00:05 

◆因みに私は頭からバリバリと。 



「頭から!」

「ケツからに決まってんだろ!」

「イイトコを最後に残すなんざみみっちぃんだよ!」

「はぁ?しょっぱなからがっつくなんざ品がねぇんだよ!だからモテねぇんだよ!」

「はぁあああああ!?お前マジふざっけんなよ」

「はぁ?」

「はぁああああああ!?」





「戸叶っ!」

「トガっ!!」



「「お前はどっちだ!?」」




「腹」

「はぁ?」

「何で、腹」

「頭か尻尾かで2択になってる風潮が許せん」



「………ワケ分からん」

「しいていえば今川焼き派だしな」

「議論の根底から覆しやがった」




【おわり】


たいやきのはなし。




皮が好きなので、頭から行きます。それか剥がしてあんこだけ食べてから皮を堪能します。

2010/09/15(Wed) 01:29 

◆薫風。 




「マネージャー、ストップ」

「え?」




ふわりと香った匂いは、好きな匂いによく似ていて。



タオルを配っていたマネージャーを少しだけ引き寄せて。



「く、黒木、君?」





「ムッキャー!黒木テメ、まもりさんにななななな何ッキーっ!!」




マネージャーの髪を一房。



「あんがと。わりぃな、汚れちまったかも」

「え?ううん、どうしたの?」

「べっつにー。なぁ、マネージャー良い匂いすんなー」




「………はぁ、っ!?」

「落ち着け十文字、アイツに変な意味はねぇ。やってることは変態だが」







「うん?えーと…ありがとう、かな?」

「どーいたしましてー」




流れる髪の香り。
それは確かに彼女と同じで。


良い匂いだった。
好きな香りには、タバコの匂いが足りなかった。





【おわり】

2010/08/28(Sat) 00:52 

◆やくそく。 





分かって頂きたいのは、約束なんてものは、結局エゴでしかない。

ゆびきりげんまん。


自分がこうしたい。
相手がこうしたい。
ならば、そうしよう。


分かるか?
つまりはエゴとエゴのぶつかり合いでしかないのだ。


交わした約束。
それはつまり、相手を嘘吐きにすることしか出来ない。
守って当たり前。
破ったら遠くなる。
守っても近くなることはない。
破って、遠くなって、疑ってまた破って。


そんなの悲しいだけじゃないか。
だから、約束なんてもの、しなければ良い。
お互いが信じていれば、良い。





「で、この世に言い遺すことはそれだけか糞次男」



ガシャンッ




「だーかーら!謝ってんじゃねぇかっ!」

「謝ってる態度かそれがっ!言い訳なら聞いてやる、死ね」

「はぁああああ!?聞く気ねぇじゃん!!めちゃくちゃヤる気満々じゃねぇか!」

「……どうして遅れた?」


「昼ね………ぎゃあああああああああーーーっ!!」

「お前、はっ!糞っ!死ね!今すぐ死ね!」

「ひぃいいぃぃぃっ!こ、殺されるっっっっ!」





事故にでもあったかと一瞬でも心配した自分に腹が立つ。



【おわり】




無駄に理屈を並べる黒木が書きたくなった。ヒル黒ヒル風味?←何故

2010/08/18(Wed) 00:37 

◆強欲な彼の一つの願い。 



「お、流れ星」

「あー、まただ。何だっけ、今日テレビでやってたな。流星群」

「何か願いごとでも言うか」

「良いな!何願おっかな〜!彼女出来ますように、小遣いが上がりますように、ゲーム欲しい…あと、」

「多くねぇか?三回言えんのか?」

「だってよぉ、一つじゃ足んねーもん」

「じゃあ、願いごとが一つに定まりますようにって言えば?」

「お!それ良いな!」

「…………いや、意味ねぇだろ」




【おわり】

2010/07/07(Wed) 23:24 

◆アルコールの所為でなんてごまかせない。 






物心を着いたときから家に帰れば、1人だった。




だから当たり前のことを当たり前のように、なんて。






教えてくれたのは、親でも教師でもない。






そいつ等が口を揃えて付き合うのを止めろと言うヤツ等。













コンビニでタバコを買って。
アルコールを摂取しながら。



その扉を開けたとき。





「おけぇりー」

「お、帰って来たな」


ボロボロになったツラで、ヘラヘラ笑って。






「………」

「あ?十文字どうした?」

「………あ、いや」

「つーか、お前言うことあんだろォ!」

「あ?あー…黒木の言ってたポテトフライのアボカド味はもう販売中止だと」

「はぁああああ!?マジでぇぇえぇぇぇ!?アレ食えなくなったら俺死ぬっっ!つーか、違ぇ!」

「はぁ??」

「くく、帰って来たら、ただいま、だろ」

「…………」

「そーそー!シタシキ中にも礼儀アリだ」

「………あ、…た、ただい、ま」






全く言ったことのない言葉を絞り出せば。

2人は間抜けな笑顔で「おかえり」と言った。














親も教師も教えてくれなかった。
待ってる人が居るのが、一体どんなものかなんて。






何だか、今無性に胸が暖かかった。






【おわり】

2010/07/04(Sun) 23:24 

◆10年に1人の最強に性格がアレな人。 




「あァ゙ームサい。ったく色気も何もねぇなぁ。オイ、カス十字」

「…(センスねぇ呼び方だな…)何スか、阿含…………先輩」

「女呼べ。」

「俺に頼まなくったってアンタなら何人でも呼べんだろ」

「あァ゙?」

「いや、凄まれても……あー、そういやぁ同じ学部の女からアメフト部とコンパ頼まれてっけど…」

「何だ何だあんじゃねーか。じゃ、今夜な」

「はぁっ?急だろ!」

「や れ」

「……………」










「おー!みんな鬼可愛いっスね!!」

「えー、ありがとうございます」

「ねー、十文字クン、阿含先輩は?」

「あー、……そろそろ………」



バタン



「ゴメンゴメン遅くなって……」

「あ、阿含さん!」

「…………あァ゙ー?」

「?」





「ブスばっかじゃねぇかっ!ざけんな!帰るっっ!!」





「「「………」」」





バタンっ!!





「あそこまで性格ワリィと逆に気持ち良いな…」

「……」




つーか、この空気…鬼どうしよう。




【おわり】





モンジとアゴンヌ。とイッキューさん。
モンジの大学受難話書き集めたい。



2010/03/29(Mon) 00:34 

◆俺達の最強最悪の女神様。 


賊学カメレオンズ。





「姐さんっ!」

「あ?」

「俺達みんなで相談したんスけど」

「あぁ?」

「ウチってチア居ないじゃないスか」

「………まぁな」

「で、姐さんにやってもらいたいなぁ、なん……」


「死ね」

「ひぃいいっっ!」

「だって他の学校みんな居るじゃないスか〜っ!」

「可愛い女の子の応援があった方がやる気出ますって!」

「…今すぐ全員並べ。ぶっ壊す」

「そんなこと言わないで下さい〜っ!」

「切実なんですーっ!」

「姐さんだけが頼りなんですっっ!」

「姐さんなら一人でも他校のヤツ10人に匹敵しますよっ」

「あぁ!?うっせ…」

「「「お願いしますーっっ!!」」」

「(…クソッ。数で来やがった…)」




「カッ!テメー等何騒いでいやがる!さっさとランニング行けっ」

「葉柱っ…!」

「キャプテンっ!良いところに!」

「あー?」

「葉柱さんもチア居た方が良いですよね!」

「は?」

「見て下さいっ!一着作ったんですよ!賊学の白と緑でっ!」

「…いつの間に……」

「姐さんにチアやってもらいたいっすよねっ!」

「チア〜?露峰にぃ〜?」

「…………」

「…………」

「……やめとけよ。コイツのチア姿なんざ目のど…くっぁっ!!」



「良い度胸してんじゃねぇかっ!寄越せっ!着てやらぁっっっ!」



「「「やったぁぁぁぁぁ!!」」」


「カッ!オイッ露峰、待……」




ガラガラ。ガンッ。













「………短くねぇか、これ………」

「…………」

「…………」

「…………」

「………………」




「何か言えっ!テメー等が着ろっつったんだろーがっ!」




「姐さん……」

「やっぱダメーっっ!」

「あぁ゙!?」

「可愛いからダメッスっ!」

「そんなんで他校の試合に行っちゃダメッス!」

「……ハァっ??」

「姐さんの綺麗な脚見せちゃいけねぇっ!」

「俺達だけの姐さんで居てーーーっ!!!」


「…………」





……だから止めろっつったんだ。



おわり




賊学がアホの子達になっちゃいました。メグさんはみんなに怖がられてるけと好かれてれば良い。

2010/03/11(Thu) 01:14 

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