!!

小ネタ倉庫。夢文。
◆俺が死んだら。 




「泣いてくれるか?」




喧嘩をして、口から血が出て腕には青あざが出来た。―――3対1じゃ分が悪い。
目の前の彼女は心配そうに、馬鹿じゃないのてゆうかばっかじゃないの!とグスグス怒りながら手当てをして。



そんな彼女に問いかけてみた。何となく。



「いてっ!」



青あざになってるところをギューッと押されて。



「はぁっ!?テメ、何しやが………」



あまりの痛さに非難の声をあげれば、胸倉を掴まれて、すごい勢いで睨まれた。涙に濡れた目で。あぁ綺麗だな。



「…泣いてなんかやらない。あたしより先に死んだら、怒鳴り込んでやる。」

「はぁ?」

「あたしより一秒でも生きてなさい。絶対。あたしの人生にアンタの居ない世界が一瞬でもあるなんか認めない。病気でも殺されても死ぬ気で生き延びなさいよ」

「……ものすごく難しい注文だな」

「うっさい!」



ペシと額を小突かれて。



「だから、そんなコト言わないで。考えたくない」

「悪かったよ。もう言わねぇ」

「よし。」

「熱烈なプロポーズも受け取ったしな」



くくっと喉を鳴らして笑えば、瞬間に顔が赤くなって。


「べ、別にっ、そーいう意味じゃ……」



言いかけた唇を、そのまま塞いだ。





【おわり】

2010/10/31(Sun) 00:41 

◆秋雨。 





雨は、嫌いじゃない。





―――サァァァ




静かに降る雨。粒が落ちてるのに、それはヒドく遠い出来事のようで。

空気が澄んでいく。




「止まないね」

「あぁ」


一言ずつ、途切れ途切れの会話が居心地良い。




久しぶりだな。
隣に並ぶの。




「背、伸びた?」

「まぁな。お前は変わんねぇなチビっこいの」

「余計なお世話です」



チラっと見上げれば。いつの間にか見上げなければならない位置に顔がある。






「…止まねぇな」

「……そうだね」





走って帰れない距離じゃない。
飛び出しても別に困る程の雨じゃない。

それでも、こうしてただただ雨を並んで見つめているのは、何故?ねぇ。


分からない。
分からないけど。




「………」

「あん?どうした?」

「いや、寒くなってきたね」

「秋だもんな」








あぁ、雨なんか止まなきゃいいのに。





【おわり】







夢というかオリジナルというか。雰囲気のみで綺麗な話が書けるようになりたい。
好きな人と雨宿りという設定。言わなきゃ分からん。


2010/09/14(Tue) 00:44 

◆どこまでも。 

栗田先輩夢。





「えっとね、つまり…例えばさ、ここにチョコとショートのケーキがあるとすれば、僕はショートのが好きなんだけどね、ショートはあげるっ!」

「あたし、チーズケーキ派なんですけど」

「えぇぇえぇっ!じゃあチーズケーキ買ってくるっ!」

「え?ありがとうございます?」

「ああ!違うくて、そういうことじゃなくて!でも食べたいなら買ってくるけど、あのね、」

「えぇ、分かりました。でも、栗田さんは例えば姉崎センパイがショートケーキを食べたかったらショートケーキをあげるし、鈴音がショートケーキを食べたかったらあげますよね」

「え、う……うん」

「あたしだけが特別じゃないです。」

「ち、違うよっ!特別、だ、よ」

「いいえ、気持ち的には特別かもしれませんが。行動は同じです。みんなに平等で、みんなに優しい。」

「…………」

「あたしは、そういう栗田さんが好きですよ?」








【おわり】




ボツネタ。何だか妙に気に入ってます。

2010/07/26(Mon) 00:01 

◆いただきます、は手を合わせて感謝の心を込めて。 


王城マネージャー設定。


「良いねぇ…」

「何が?」



うっとりと視線が向かう先には、高見先輩と若菜。


ああ、高見先輩が好きなんだ、この子。


同級生で今年からマネージャーになった彼女。
なるほど。だからか。
まぁ、確かに高見先輩は背高いしインテリで格好良いもんな。モテるわけだ。


心の中で頷きながらドリンクを飲んでると、



「あぁ…本当に可愛いなぁ。すべすべのお肌にちっちゃくて華奢で」



ん?ちっちゃい?華奢?



「もう本当に食べちゃいたいくらい可愛いな、若菜ちゃん」


「ぶっほっ」



「やだー、桜庭…!汚ーい」

「げほっごほっ!いやいや、ちょ、え?若菜?」

「ん?そう。可愛くない?もう本当に食べちゃいたいくらい可愛い」

「二回言ったっ!言わなくて良いのにっ!」



えー、つまり…えー、え、えーっっ!!??



「もしかして……マネージャーになったのって…!」

「そりゃあ若菜ちゃんが居るからよ。食べちゃいたい」

「三回めぇっ!?」

「うむ。確かに筋は少ないし、脂肪も少ないからあまりこってりしてなさそうだ」

「はぁっ!?」

「良いわよねぇ…もっちりお肌で」

「しかし、人肉は不味いらしいぞ。タンパク質としても食べるなら魚の方が良い」

「えぇえぇぇえっ!?そっちぃぃぃぃ!?」





噛み合ってるようで噛み合ってない会話。




「うむ?どうした桜庭」

「何かあった?」

「……何か、俺が非常識なのかな……」





おわり

2010/07/20(Tue) 23:17 

◆挫折。 



右足を挫きました。




「あー………大丈夫か?……肩、貸してやる。体重かけていいから」

照れながらも紳士的に手を差し伸べて歩調をゆっくりにしてくれるがっしりした肩の十文字。




「はぁああ?ドジだなぁ。ほら、乗れ」

呆れながら大爆笑。重い、とか言いながらも足取りはしっかりしてる、広い背中を貸してくれた黒木。





「ハ?仕方ねぇな」

え?えぇぇえぇ!?いやいや有り難いですけど!重くないですか?有無も言わさずお姫様抱っこで運んでくれる戸叶。








(バトンを作ってみようとして挫折。シチュエーションは浮かぶんだけど…繋げられる才能がない。増えたらまとめたい。………いや、多分あんま増えない)

2010/07/08(Thu) 00:20 

◆うん、と言っておけば良かった。 






「十文字様々!有難う御座いました!」

「あぁ、よかったな」

「本当にありがとー!十文字のおかげで補習免れました!お礼に奢ります!」

「当然だ」



ふん、と鼻を鳴らして。ニカッと笑う。



テスト前に教えてもらったお礼に、近くのファーストフードに連れてきたんだけど。






「女に金出させるわけにはいかねぇだろ」



結局、アタシが奢られる。
4人だと割り勘なんだけど、2人だと何故かこうなってしまう。まぁ滅多にないけど。



「……あたしが奢るって言ったのに…」

「隣でお前だけ財布広げてって、有り得ねぇだろ」

「じゃあ先に座っていれば良いじゃない」

「はぁ?お前にレジ並ばせて金払わせて持って来てもらうって、何様だ俺は」

「……えぇかっこしぃ…」

「放っとけ。金欠になったら頼むから、そん時まで貯めとけ」



毎回そう良いながらも、一度も奢ったことはないんだけど。




「そもそも、彼女でも何でもない女に奢って何か意味あんの?」

「はぁ?そういう問題じゃねぇだろ」

「まぁ、そうだけど…」



釈然としないまま、大口を開けて頬張れっていれば。




「……じゃあ、なるか?」

「ふへ?」

「彼女、なるか?」

「ごぶはっ!」






「な、ななななな、なに、な、」

「汚ぇなぁ…」



思わずハンバーガーが口から噴出しかけた。乙女の尊厳としてギリギリ止めたけれど。




「あああ、アンタが変なこと、言うからっ…!」

「……冗談だっつーの。真に受けんな」

「あ、冗談ね。あはははは、ゴメン」



乾いた笑いで何とか心臓を保つ。


収まってきたころに、そっぽを向いてコーラを飲む十文字の顔を見れば、耳だけやたらと赤くて。







――――――、






蓋を取って、ジュースを一気に流し込む。氷を噛み砕けば、とても涼しくなった。

なのに、顔の熱だけは引かなかった。






【おわり】





おい、何してんだお前等?
はぁあああ?誘えよなぁ!俺も腹減ったっつーの!

((助かった!!))









2010/06/22(Tue) 00:19 

◆しっとりと嫉妬。 





「もー我慢出来ません」

「ハ?」


「毎日毎日あたしよりも部活だとか友達だとか、いやまぁそれは別に良いけど、ジャンプより優先順位が低いのはもう耐えられません」

「んじゃあ回し読み、いらねぇんか」

「それとこれとは別です!次貸してください!」

「意味分かんね」

「こっちの台詞です!トガのばかー!もう黒木か十文字と浮気してやる!」

「ハ??何であの2人?」

「男は自分の友人と浮気されるのが一番堪えるって聞いたから」

「……………」

「もう知らないんだから!先に返事来た方と浮気してやるっっ!」




ポリポリと戸叶は頭を掻いて。
何やら意地になってるようにも思える彼女の腕を引いて、そのまま抱き止める。



「あー…悪かった」

「な、な、何よ!今更こんなことしたって…」

「お前が寂しいのに気付けなくてゴメンな。いつも一緒に居てくれるから…ちょっと怠慢してた」

「………」

「だから、浮気するとか…言うなよ」




少しだけ、眉をしかめて。
頭をポンポンと撫でて。




「分かれば良い、です……ごめん、ちょっとワガママ言った」

「いや」



別に、と呟く戸叶に。彼女はゆっくりと微笑んで顔を上げる。





「ね、焦った?浮気するって」

「あぁ、焦った」




気を良くした彼女はギュッと戸叶の背中に手を回した。



「十文字はお前のこと女として見れねぇっつってたし、黒木は純然たる面食いだから、お前相手にされなくて可哀相な気がして…」

「…………」


「あだっ!」


言葉をニコニコしながら聞いて。そのまま無防備な足の甲を思いっ切り踏んでやった。





【おわり】

2010/06/11(Fri) 01:09 

◆乾燥には気を付けましょう。 




「あー…唇カサカサする」

「リップでも塗っとけ」

「持ってない」

「……女なら常備しておけよ」

「アンタは男のクセに気にしすぎよ。舐めておけば治る」

「ばーか。悪化すんだろ」

「んじゃあアンタの貸して?」





ん、と伸ばした手を引き寄せられて。
近付いたのは。


薄く、唇がしっとりと濡れた。









「………あたしメンソレータム苦手なんだけど」

「贅沢言うな」

「……分かった。じゃあもっと、ちゃんと」






シャツの裾を握って強請ってみれば、笑っていた。



二回目のそれはメンソレータムではなく、彼の味がした。






【おわり】

2010/06/11(Fri) 00:54 

◆お前も好きなの? 





「なーに聞いてんの?」



耳に収まっていたイヤホンを取り上げられて。

右耳からは今まで聞いていた音楽とは違う心地良いアナタの声。



片方のそれは黒木の耳に収まって。
じっと流れるメロディーをゆっくりと聞く。



「あ、これ。好きなんだよなー。お前も好きなの?」

「うん」





だって、アンタが好きだって聞いたから。








【おわり】

2010/05/23(Sun) 23:49 

◆彼女はもっと違う位置に存在しているのでしょう。 




「あ、それやっておくから後は大丈夫よ。いつもありがとう」



笑う先輩。

美人でスタイルが良くて明るくて優しくて強い。成績も運動神経もよくて、友達も多く、信頼も厚い。背筋をしゃんと伸ばし、キレイな瞳を持った女性。




アイツの、好きな、ヒト。










「ねぇ、十文字」

「あん?何だよ重ぇなぁ」





翌日、教室で本を読んでる十文字の背中に、後ろ向きになってもたれる。




「アンタさ、あの人好きなんだよね」

「………はぁ?」

「一番はあの人………ねぇ、あたしは二番目になれてる?」






女として。





ねぇ。










「………二番目なんかじゃねぇよ」

「あ、何?じゃあ鈴音より下?」

「…順番なんかねぇよ。お前は、……………お前はお前で別枠で……大切なダチだ」








あぁ、何てズルい男。







「じゃあ先輩は?」






こんな質問をするアタシも充分ズルい女かな。





答えられない十文字に、そのまま体重をかけた。







【おわり】

2010/05/19(Wed) 00:38 

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