纏本

□PHASE.9『爪痕』
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「くっ、マーズがっ!」

猛攻を受ける友軍艦にダエルの額に冷や汗が垂れる。
明らかな物量差での戦闘により、護衛艦もファランクスに追いつけない。
このままでは落ちる…。

「ダエル!!私がなんとか此処を抑えるからマーズを!!」

「だがっ、お前らが…!」

圧倒的な物量を前にしてクエンはオレンジ色のザクで適確にウィンダムを撃墜していくが、新たに迫り来る機体の数の方が多かった。
此処で離れればクエンにかかる負担は数倍にも及ぶ。

「護衛艦が落ちたらこっちは的だよ!!」

しかし、護衛艦が落ちれば必然的にファランクスに攻撃が集中される。
そうなればろくな武装を持たない艦などあっという間に落ちるのは誰が考えても当然だった。

「チッ…しのごの言えないってのかよ!」

迷っていればいる程友軍艦は劣勢に陥ってしまう。
ウィンダムはまるで死体にたかる蝿のように友軍艦の回りに取り付き、攻撃していた。

「考えるよりも先に行動だ!!クエン、すまないが此処は頼む!!」

「任せといて!!伊達に私だって赤じゃないわ!!」

「頼もしい限りだ!」

直ぐさまライフルでウィンダムを撃破すると母艦の甲板から友軍艦へ向かった。
地球の重力圏内でブレイズ装備のザクを長時間飛行させるのは出力的にも推力的にも心許ない。
となると海の上で戦うには足場が必要であり、一番手っ取り早いのは機体を別の足場へ飛ぶしかない。
幸いにもファランクスと友軍艦の位置はそう遠くない、なんとか飛行できる程度の距離ならば直ぐに傍に飛んだ方が早かった。

「援護しますよ!!」
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