纏本

□PHASE.7『戦場』
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「くっ……思ったより早いな!」

バゼラードは眼前で次々と発進する機影に表情が歪んだ。
余りにも早いオーブと地球連合の出撃に、ジックリ策を考えさせてくれない相手に苛立った。
宣戦布告早々にプラントに核を撃ち込もうとして失敗した地球連合軍は地球上に積極的自衛権として降りたザフト軍に対して積極的に攻撃を仕掛けてきた。
バゼラード・ノクティス率いる対特殊戦隊に対してもその手は及んでおり、一度撃退はしたものの追撃の手が緩む事がない。
そう考えていると頭上のモニターに一人の女性が映った。

「リンネ!」

「ノクティス、私も直ぐに出る…グゥルの射出を頼む」

頭を振り頷くと直ぐさまCICにハッチの開放を命じて戦闘体制に入るよう艦内放送で促した。
バゼラードとしても出来るだけ戦闘を避けたかったが、地球連合軍は意気揚々と追っ手を出してくる。
こうなるともう最後の手段として迎え討ち、追っ手を出す気力を削ぐ事しかなかった。

「VLS発射用意!!他のMSはリンネが指揮を取る!コストールとファンネルを沈めさせるな!!」

指示を出しながらも眼前の景色に埋まりつつある敵MS部隊の数にさすがのバゼラードも冷や汗をかく。
余りにも多い数に、どう戦えばいいのかバゼラード自身悩むところだが、敵は待ってくれない。
自艦であるボズゴロフ級艦ファランクスも搭載火器は垂直発射型のミサイルであるVLSミサイル発射システムと高速魚雷のみだ。
地球連合軍の旗艦であろうスペングラー級艦とダニロフ級艦五隻、オーブ軍のタケミカズチ級艦とイージス艦三隻を相手にするには骨が折れすぎる。

「くっ……敵MSの数は?」

「……よ、五十機です!!」

オペレーターが答えた数は余りにも現実離れした数字であった。
たかだか三隻のボズゴロフ級艦を、五十ものMSで殲滅しようというのだ。
戦略的に見ても余りにも酷な数字である。

「だが、やるしかないのか!」
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