纏本

□PHASE.4『激動』
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その全ての樹から取って食べなさい…
ただし善悪の知識の樹からは…
決して食べてはならない……

食べると必ず、死んでしまう…
だがやがて、共に創られた野の生き物の道で一番賢い蛇がこう言ったという……

"決して死ぬ事はない"……
"それを食べると眼が開け、神と同じく善悪を知る者となる"……
"その事を神はご存知なのだ"…

そうして始まりの人は、その実を食べたのだという…



「サラサ一佐……シャトルは今発進されましたが、この後の予定はどうされますか?」

オーブ空港にて一条の光が夕焼けの空へ旅立った景色を眺めていると下士官の言葉に振り返る。

「……プラントに極秘訪問したアスハ首長代表に変わって軍部はいつも通りだ」

警戒するのも仕方がないが、とため息を吐きながら下士官を一瞥する。
そのまま夕焼け空を眺め、宇宙のプラントへ訪問していくシャトルの行方を探す。
もう居ないだろう、と分かると席から立ち上がって荷物を纏める。

「行政府に戻るぞ……実際オレはまだ書類が沢山あるしな」

「了解しました……」





C.E.73……
ユニウス条約によって世界の均衡は前大戦以前に戻され、軍事力は抑制されている。
だが、それは表立っての話だ。

宇宙に広がるプラントでは密かに、とまではいかないが新型MSの開発や戦艦など新技術を使って軍備を整えている。
地球連合も然りであった。
例え軍事力が表面で抑制されようと、コーディネイターとナチュラルのわだかまりが消えるわけでもなく…
またテロやデポが姿を消す事はない。

前大戦で使われた大量破壊兵器の存在もユニウス条約によって姿を消す事になったが、それも怪しい話であり、決して存在の否定は出来ない。

アダムとイヴが蛇に誘惑されて知恵の実を食した事と同じで…
世界は種族に誘惑されて戦争を望んでいる。

原罪に身を任せる世界で…



誰もまだ気づかない……。
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