纏本

□PHASE.7『戦場』
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「ダエルとクエンは私と共に敵MSを出来るだけ落とすぞ」

「りょーかい」

「とりあえず近付く奴を片っ端から落とすしかないわけね」

赤服を纏う同僚に指示を出すとリンネは深呼吸を一つして操縦桿を握った。
此処で空戦戦力を持つ敵の数を出来るだけ前で抑えれなければ、自分たちの母艦は集中攻撃される。
それだけは避けなければならない。

「……リンネ、出る!!」

急激な加速圧を堪えながら、操縦桿とフットペダルを用いて機体を母艦から上昇させるとリンネは正面を見据えた。
同じ人型の兵器が圧倒的な数で空を駆ける様は圧巻以外の何物でもない。

「…くっ、数は五十だったか…」

リンネは先駆ける形でフットペダルを踏み込み、機体を前進させると隙だらけで滞空するウィンダムにビームライフルを放つ為に、操縦桿のボタンを押した。
数コンマ秒のディレイで光を放って線を描いた緑色の熱線は、吸い込まれるようにウィンダムの胴体に直撃する。
まるで人間が腹部を殴られたかのようにくの字を描いてウィンダムは直ぐに閃光と共に爆発した。

「ちっ……やはりまだ未完成か」

反応が遅かった攻撃動作に舌打ちすると、リンネはぼやいても仕方がない、とそのまま機体を別のウィンダムへ向ける。
シグーに改良したビームライフルを装備させたとはいえ、元々規格外の装備だった為、ある程度の調整が必要だった。
そのため、試験をする間もなく戦闘を仕掛けてきた地球連合軍に間に合わせる事もなく、実戦で初試験をする羽目になった。

レーダーを確認してダエルとクエンの位置を探し、ある程度の位置取りを把握するとリンネはモニターで正面を見据えた。

「……だが、やるしかない…!」
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