yu-yu-hakusho K

□優しさと
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「ん……ぅう」

気持ち悪さに目を開ける。

頭が痛い喉も痛い……

「大丈夫…じゃなさそうだな」

声がする。黄泉の声だ。

……黄泉?

ーーーバッ

起き上がろうと試みたがクラクラして頭が数センチほどしか動かなかった。

「寝ていろ。魔界の風邪は厄介なんだ。…お前がよく知っているだろう」

黄泉が蔵馬を見下ろしながら呆れを含んだ小さな声で言う。

見下ろす?

視線を動かすと白い枕と布団が見える。

どうやらベッドのようだが……。

(いつの間に……)

運び込まれたことに初めて気づき、それほど自分が寝ていたという事実に驚愕した。

「……ふぅ」

聞こえた溜息に目を動かすと黄泉がオレの頬に手を伸ばすところだった。

「……?……冷たい。」

当てられた黄泉の手がひんやりしている。

実際は手が冷たいのではなく蔵馬の頬が熱いからだが……。

「風邪を引いて、それを放っておくからだ」

「……放っておいたわけではない。薬草も飲んだし」

「……とにかく寝ていろ」

「でも仕事が」

「俺がやっておこう。寝ろ」

「………。」

そう言われてもすぐには寝れない。

黄泉がいると尚更。

すると黄泉がおもむろに蔵馬の頭に手を伸ばした。そのまま頭を撫でられる。

「ちょっ……」

あ、でもーー

(気持いい……かも。……なんか癪。)

だんだんと襲ってくる睡魔。

それに逆らう術など今はなく考えるのも億劫だからそのまま意識を委ねた。

黄泉ってこんなことできる奴だったけ、と思いながら。












昔からは想像できんだろうな、蔵馬。

今の俺を。




優しさと……なんと言うのだろうな?

お前を…大切にしたいのか?俺は。

愛しさ?まぁ、どちらでもいいか。






        fin
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