gintama

□君の声で
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ーー春

太陽の日がポカポカと身体を暖めるものだから瞼が自然と下がってくる。

ベンチの端に寄り寝やすい体勢にする。

沖田は遠くなる意識に逆らわず、次に目が覚める時は土方の怒声だろうと思いつつ、それに身を委ねた。


















ーーくん。ーきたーん。


何処からか気だるそうな声が聞こえる。

沖田くーん。


しかも自分を呼んでいる。

沖田ぁ〜


それにしてもすげーやる気のない声だな。

おいこの税金泥棒ー。おーきーろー


そんな沖田沖田連呼せんでも、…ん、いや今のは違うか。

そーおーごぉー。


あり、土方さん?

大串くんと一緒にしないでくれる?


声に出てたのか。
…ん?おおぐし、くん?


「…だん…な?」

そっと目を開けると死んだ魚のような目が視界に入る。

「あ、やっと起きやがった」

「う〜?何で旦那が」

寝起きでクラクラする頭を叱咤し、起き上がる。

「あ?今日はジャンプの発売日だから外出たらてめーが寝てるのが見えたんだよ」

サボり魔が、と髪をグシャグシャにされた。

「ふ、ぁ」

髪をそのままに思わず欠伸をすると頭を軽く叩かれた。

「痛ー、何するんですかィ」

地味に痛かったので軽く睨んでやると、旦那が喚く。

「沖田くぅぅん!?おま、誰にでもその顔してんじゃねぇだろうなぁぁ!?」

何言ってんのこの人。

「旦那ァ髪の毛同様脳ミソにまでパーしちまいやしたか」

「誰の頭がパーだ!」

あぁ、この人こういう事になると土方さん並みにうるさい。

「……ったくヒトが折角寝てたのに起こさねぇで下せぇよ」

言いながら再度欠伸がでる。

「寝ねぇで働けよ税金泥棒」

「黙れよ糖尿病寸前金欠野郎」(ボソッ

「聞こえてんぞドS王子」

自分もだが彼も大概Sだと思う。

というか時々自分よりSな時がある気がする。

安眠妨害している今とか。

「ふわぁぁ」

「てめ、」

「う〜、ホントマジ勘弁して下せェよ。昨日も一昨日も徹夜だったんですってェ」

「あー、確かに隈あるねー」

旦那、棒読みですぜ。

「旦那の(やる気のなさそうな、っていうかない)声を聞いてると眠くなるんでさぁ」

「オイ、括弧ン中見えてんぞ」

「寝かして下せ…」

やば、ガチで眠い。

「……ったくよー」

遠くなる意識の中旦那のそんな声と土方の叫び声が聞こえた気がする。

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