gintama

□空
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「はぁ、」

空を見上げながら溜め息をつく。

これで何回目、何日目だろうか。


「総悟ー!!サボってねぇで仕事しろ!仕事!」

あぁ、土方煩い。マジでいっぺん死ねよ。

あぁ、

(会いたいな……)



もう、何日、何ヶ月会っていないのだろう。

ぶっちゃけ敵対しているのだからしょうがないたのだが……。

「はぁ、」

もう一度溜め息をついた、その時ーー



後ろに誰かの気配。

(!?)

殺気は……特にない。


誰だろうと考えていると、ふと目の前に後ろから伸びた、手。

「だーれだっ」

そのまま目隠しをされながらなんとも平和そうな声での問いかけが降ってきた。

「……か、むい」

「あり、正解。なんでわかったのつまんない」

チッと舌打ちをしながら手を外す。

「や、何で此処にいるんでィ」

固まったまま動けずに問うオレの顔を覗きこむ神威。

「ん〜と、逢いたかったから」

綺麗なサファイアの瞳で見つめ首を傾げた。

たったそれだけで……?

「それに、」

と、俺の肩に手を置きながらニッコリ笑う。

「ソーゴもそーでしょ?」

「……は?」

開いた口が塞がらない、とはこのことだ。

図星だがオレがそう思ってなかったらとんだナルシスト野郎だ。

色んな意味で呆気にとられ、立ちすくし相手を見つめ返すほか術はなく……。

「もしかして…違うの?」

心なしか眉が下がってゆく神威を見て、慌てて否定する。

「そ、そうじゃなくて……オレ、も」

「も?」

「あ、逢いたかったんで」

さァ、と最後まで言い切ることはかなわずいつの間にか神威の腕の中にいた。

「ぅ、わ!」

「はぁ〜かわいー」

その一言で耳が熱くなるのを自分で感じた。

「いや、可愛くないですし…。てゆか誰かに見つかったらマズ」

「かわいー♡」

(………。)

これ以上何言っても無駄だと悟り、黙って顔だけ腕から逃れた。

(あ、)

視界に入った空。

神威と同じ綺麗なサファイアの色をしている。

……いや、それ言ったらチャイナともおんなじか。

やっぱ綺麗じゃない。

「ねぇ、これから呼んだらいつでも来てあげる」

悶々と色々考えていると、ふと神威の声。

「別に……頼んでないですし。そんなの」

またもや耳が朱くなる。

そんなオレを見てクスクスと笑う神威。

「あーっ、もーどーでもいーでさァ!勝手にしろバ神威」

サファイア色の空、彼の瞳、それと、朱く染まった耳。




この空はーーー

案外、遠くもないのかも。






          end
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