HUNTER×HUNTER K
□贈り物
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「あ、おかえり♠」
「……なんの真似だ」
現在午前1時28分。
クラピカは仕事が終わり、仮の住まい……アパートに帰ってきてリビングに入るがそこには先客がいた。
「そんなに警戒しなくてもイイのに♣」
「何故此処にいる。……さっさと出ていけ」
彼はクスクスと笑いながらトランプであそんでいる。
「冷たいなぁ〜。ボクはキミに逢いにきたのに……♥」
「ふざけるな。真面目に質問に答えてさっさと失せろ」
私がそう言うと彼ーーヒソカはヤレヤレ、と肩をすくめながら近づいてきた。
「今日って何日かわかるかい?」
「馬鹿にしているのか?」
「いいから答えて♥」
ヒソカは私の頬に手を添えながら促す。
「(?)……2月の14日だ。それがどうした」
ヒソカの顔に視線を向けると、彼は笑いながら頬を撫でてきた。
「…なんなんだ」
ポツリ、と呟く。
この至近距離でしかも相手はヒソカだ。
私の呟きは聞こえたようで、不思議そうな表情をした。
「……もしかして知らないの?」
「なにをだ」
「バレンタイン、だよ♠」
「………?」
「知らないんだ♣バレンタインっていうのはね〜♥」
首を傾げた私を見てヒソカは苦笑し、説明をしていく。
「フン。私には関係のないものだな」
「へぇ?」
仲間の眼を取り返すために私はここまできた。
友人と呼べる彼らとも連絡をとっていない。
それにーー
(私にそこまでの価値など……)
「ホイ♥」
「むぐッ?」
いつの間にか顔の間近にヒソカの手がある。
それと、口の中にーー
「………甘……」
「だろう?チョコだよ♠」
四角くて小さな固体が1つ口の中でころがる。
「キミもゴンたちと同じ青い果実……♣」
何処からかヒソカはトランプを取り出した。
「ボクを楽しませてくれるように……♦ささやかな休息をあげる♠」
その中からjoker……ピエロのカードをぬく。
「道化師から小さなプレゼント♥」
「………。」
しばらくするとヒソカは部屋から出て行った。
「………。何が休息、だ」
そんなもの要らない。
ふとテーブルを見ると顔の大きさほどの箱。
(……?)
手に取り、開けてみるとーー
「なッ」
そこには専用カプセルに入っている緋の眼だった。
どこでどうやってーー。
それらの疑問以上に、
(何故)
ーーー休息?
馬鹿馬鹿しい。
いくら考えてもあの道化師の考えていることなど解りそうになかった。
もう寝よう。疲れた。
だからーー
いつもより気持ちよく寝られれば良いな………なんて。
fin