yu-yu-hakusho K

□不器用に
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「黄泉…」

「どうした、蔵馬」

「…………なんだコレは」

「見ての通り短冊だが?」

「いや、それはわかるよ。何故こんな忙しい時にオレにそれを突きつける!?」

「修羅が蔵馬にも書いて欲しいと言っていてな……。書いてやってくれんか」

「…………。はぁ、わかった。」




明日は七夕。

魔界のなかで人間界の風習を真似るのが流行りらしく、癌陀羅でもそれがあるらしい。

で、今日癌陀羅で仕事をしていたオレがつかまった、というわけだ。

改めて笹を見上げ、その葉に吊らされている短冊をみるとーーー




一番上には、

『パパより強くなる!』

「あれはーーー修羅か。」

子供らしい字で大きく書かれた願い事。

見ているだけで微笑ましくなる。

ーーー黄泉の親バカがうつったか。




『次こそ優勝!』

「あれは……幽助か?」

あれは確かに幽助の字だ。

「あぁ、ヤツは昨日此方に来ていてな……。」

嬉しそうに書いていったぞ、と続けて言う。




その他にも、陣や凍矢、酎に鈴木など、六人衆の面々もあった。

「黄泉、お前は書いたのか?」

ふと、疑問に思ったことを口にする。

「あぁーー、書いた、が。」

「?」

(見られたくないのか?)

「どんなだ?」

「うむ………。」

「ふぅん。」

「………聞かないのか」

「書いたのか疑問に思っただけだ。興味があるわけではない」

「……そうか。」

こころなしかうなだれている。

子供みたい。

そう思っても別に喋りかけたりとかはせず黙々と書く。




「よし。コレ吊るしたらもう帰っていいか?正直いって、ってうわ!」

正直いって眠い、と言おうとしたが、いつの間にか黄泉が真ん前にいて思わず声をあげて驚いた。

「お前はなんて書いたんだ?」

「は?どうでもいいだろう。そんな事」

「俺はお前に興味がある。」

「……………。は、」

「……俺はお前の願い事に興味がある。」

わざわざ言い直さなくても、と思う。




「教えるか、馬鹿。ふつー自分の見せてっからだろ」

「……。」

眉根を寄せる黄泉を無視して短冊を吊るすーーーーと、


誰かが書いた短冊が視界に入った。

「ーーー?」

何気なく読んでみる。

(『 』)



「黄泉……」

「なんだ。」


スッーーーーー

黄泉が振り向いたと同時にオレは奴の頬に唇をあてた。

一歩下がり黄泉を見ると固まっている。

(ざまぁみろ)

オレは別れの挨拶もいわずにスタスタ歩き出した。

クスクスと、笑いながら。




笹に吊るされた短冊の中に、二枚だけ、寄り添うようにして吊られているものがあった。

まるでーーーーー






end
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