yu-yu-hakusho K

□“いつか”と“いつまでも”
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「く〜らま〜」

名前を呼ぶ声に振り向くと桑原君がいた。

「やぁ、どうしました?」

「お前こそ、今日どした?学校あったんか」

今日は日曜日。

普通ならこの日この時間に制服姿の高校生はいない。

だが蔵馬は濃いピンクの制服姿。

「実は今日が卒業式だったんです」

「あぁ、それでか」

ビュッーーー

「わっ」

一瞬強く吹いた風にあおられ桜が舞い散る。

「うぉ、風つえーな」

「そうですね」

舞う、舞う。

ふと、思い出した中学の思い出。

自分に思いを寄せてくれた少女。

今はどうしているのだろうか?

「蔵馬〜?」

「……。」

「どーしたー?」

「いえ、何でも。ところで桑原君は何故ここに?」

蔵馬が問うと桑原はあぁ、と何かを思い出したように声を漏らす。

「仲の良いダチたちとこれからカラオケ」

「そうですか」

クスクス微笑む。

友達ーーー

「大切に、しなきゃですね」

(?)

「それでは、また今度」

そのまま桑原と反対方向に歩き出す。

(友達か……)

いつか……人間界を離れる時。その時今まで知り合った人間の友人、家族から消える自分。

桑原みたいに消えることのない繋がりを自分は沢山の人とは持っていない。

寂しい、とかは思わない。

だけど、苦しい、と思う。

自分を見失ってしまうようで。

オレはーーー

「蔵馬!」

またもう後ろから声がした。

振り向くとーー

「幽助……?」

いつか魔界で見た時よりも逞しくなった彼。

「どーした、浮かない顔して」

「え、えぇと、てゆうか幽助は何故ここに」

すると幽助はニッと笑いながら、

「オメーに会いに来た!」

と叫んだ。

「……え、あ、うん、そう。」

呆気にとられ曖昧な返事をすると、幽助は笑っていた顔から一転、真顔になった。

そのことにビクッと震えてしまう。

「……蔵馬」

「…………………」

何も言えず黙ったまま固まっていると幽助が再び口を開いた。

「俺が……俺等が憶えてるから」

「!」

「忘れねぇ。死ぬまで。死んでからも」


大丈夫。俺らはちゃんと今もこれからも繋がってるから。



        end
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