絆道

□第22話
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「まさかアナタとやり合うことになるとはね…
……ヒナタ様」

「……ネジ兄さん」

「え!?…兄妹か!?」



眼下での会話にナルトが驚愕の声をあげる。



「あいつらは今やこの木ノ葉で最も古く優秀な血の流れをくむ名門…日向一族の家系だ
だが、兄妹じゃないよ…」

「じゃ…どういう関係なの?」

「んー…ま、日向家の“宗家”と“分家”の関係…って言やいいのかなァ」

「…宗家と分家?」

「ハイ!ヒナタさんは日向流の宗家(本家)にあたる人で、ネジはその流れをくむ分家の人間です」

「…つまり親戚同士の戦いってことね
やりにくいわね、あの2人…」

「ハイ…ただ…」



言葉を濁すリーになに?と問いかけるサクラ。
その問いに応えるべく、リーの代わりにユウが口を開いた。



「宗家と分家の間には昔から色々あって、今はあまり仲の良い間柄ではないんだよ」

「ふぅ〜〜ん……何で?」

「あたしも日向一族の人間じゃないから詳しくは知らないし、知っていても何も言えない。
これは昔ながらの古い家にはよくある話で、日向家の初代が家と血を守っていくために色々と宗家が有利になる条件を掟で決めていて…
分家の人間は肩身の狭い思いをしてきたらしいの」

「じゃあ因縁対決ってやつだ…」



肯定だと頷き、心配そうにヒナタへと視線を落とすと同時、ハヤテから試合開始の合図が出た。
どちらもすぐには動かず、臨戦体制を取る。



「試合をやり合う前に一つ…
ヒナタ様に忠告しておく…」

「……?」

「アナタは忍には向いていない…棄権しろ!」

「…!」



突然のことに愕然と目を見開くヒナタ。
ユウは少し眉を寄せる。



「……あなたは優しすぎる。
調和を望み葛藤を避け……他人の考えに合わせることに抵抗がない」



何も言えず、ネジから斜め右下へと視線を逸らす。
それに追い討ちをかけていくように口を開く。



「そして自分に自信が無い…いつも劣等感を感じている
…だから…
……下忍のままでいいと思っていた…
しかし中忍試験は3人でなければ登録できない
…同チームのキバたちの誘いを断れず…この試験を嫌々受験しているのが事実だ
違うか…?」

「…ち…違う…違うよ…
…私は……私は、ただ…
……そんな自分を変えたくて、自分から……」



目を合わせることはできず、声も震えていたが、確かにそれはヒナタの本心だと感じた。
変わりたい、その気持ちに偽りなんてない。
だがネジはヒナタの想いを一蹴した。



「ヒナタ様…アナタはやっぱり宗家の甘ちゃんだ」

「え?」

「人は決して変わることなど出来ない!」



断言され、ショックを受け目を見開く。



「落ちこぼれは落ちこぼれだ…
その性格も力も変わりはしない」

「(アイツ…!)」



あんまりなネジの発言に怒りを覚えたナルトの眉間に青筋が浮かぶ。



「人は変わりようがないからこそ差が生まれ…
エリートや落ちこぼれなどといった表現が生まれる
…誰でも…顔や頭…能力や体型、性格の良し悪しで価値を判断し判断される
変えようのない要素によって人は差別し差別され、分相応にその中で苦しみ生きる
オレが分家で…
アナタが宗家の人間であることは変えようがないようにね…」



苛立ちが募っていくナルト。
ユウもそれを見て、そっと瞳を伏せる。

…ネジの言いたいことが、分からないわけではないから



「今までこの白眼であらゆるものを見通してきた
だから分かる…!
アナタは強がっているだけだ、本心では今すぐこの場から逃げ去りたいと考えている」

「ち…違う…私はホントに…」



ネジから突如聞きなれない単語が飛び出し、白眼についてサクラがカカシに問いかける。



「うちは一族も元をたどれば日向一族にその源流があると言われている
「白眼」ってのは日向家の受け継いできた血継限界の一つで、写輪眼に似た瞳術だが…
洞察眼の能力だけなら…写輪眼をもしのぐ代物だ」

「…!」



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