絆道
□第12話
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砂からの訪問者と対面した翌日。
ユウたち第七班のメンバーはいつものようにカカシのことを待っていた。
「は〜〜あ
ねェ!ねェ!ねェ!!こんなことが許されていいワケぇ!?
何であの人は自分で呼び出しといて常に人を待たせるのよ!!」
「そーだ!そーだ!サクラちゃんの言う通りだってばよォ!!」
痺れを切らしたサクラの怒声があがり、ナルトも激しく同意する。
「寝坊したからってブローをあきらめて来る乙女の気持ちどうしてくれんのよ!!」
「そーだ!そーだぁ!オレなんか寝坊したから顔も洗ってないし歯も磨けなかったんだってばよ!!」
それは、いささか汚いのではないだろうか 流石に
二人の会話に思わず苦笑いを浮かべ、ユウは暇つぶしに読んでいた本から顔をあげた。
「アイツら、なんで朝っぱらからあんなにテンション高いんだ……」
「そういうサスケはテンション低いよね
低血圧?」
「いや、そうじゃない が、あそこまでテンションが高いとちょっとな……」
「イライラする?」
「……ユウにはなんでも分かられちまうな」
図星だったのだろう、苦笑するサスケに同じく苦笑で返す。
そりゃあ隣りでずっとムスッとされていれば、誰だって気付くと思うのだけど。
サスケの機嫌が悪くなるのが目に見えているから、それは胸の内に留めておくことにする。
そして、ようやくカカシが現れ、嘘くさい弁解にサクラとナルトの鋭いツッコミが炸裂したのだった。
いつものやり取りを終え、鳥居から降りてきたカカシはさっそくと言わんばかりに本題に入る。
「ま!なんだ……いきなりだが、お前たちを中忍選抜試験に推薦しちゃったから」
「え!?」
「……やっぱり……」
驚愕する三人に聞こえないくらい小さく呟いた。
こういう嫌な予想ほど当たってしまうことを理解していたつもりだが……実際に突きつけられるとキツイものがある。
冷静にいつもの冗談だろうとナルトがあしらおうとした時、ユウたちに4枚の書類が突き出された。
「志願書だ」
「カカシ先生大好きーっ!!」
「おい よせ、離れろって……抱きつかれるならユウがいいんだけどなー」
チラ、と期待の眼差しを向けるも、当の本人は難しい顔で書類を見つめ、「ホントにホントの志願書だ」と呟いている。
どことなく哀愁の漂うその姿に自分の願望が叶わないことを悟り、4人に向き直る。
「……と いっても推薦は強制じゃあない。受験するかしないかを決めるのはお前達の自由だ
受けたい者だけその志願書にサインして明日の午後4時までに学校の301に来ること。
伝達は以上!解散だ
―――ユウ、お前には一つ話しておかないといけないことがあるから、残ってくれ」
「?あたし?」
カカシのやけに真剣な眼差しに再び嫌な予感が胸にうずまいて、ユウはこっそりため息をついた。
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