絆道

□第7話
1ページ/13ページ




「じゃ!ナルトをよろしくお願いします。
限界まで体使っちゃってるから……今日はもう動けないと思いますんで」



朝、タズナ宅の玄関で、ユウたちはツナミに見送りをしてもらっていた。

ちなみにそのメンバーの中にナルトはいない。
彼はよほど体を酷使してしまったのか、今日は起きられなかったのだ。

で、冒頭に至る。



「じゃ!超行ってくる」

「ハイ。ユウちゃんもいってらっしゃい」

「え、あ……い、いってきます」



緊張しているのか、オドオドしたその返答に、カカシは静かに微笑んだ。

この波の国の任務……ユウにこういう経験をさせるためには良かったのかもしれない。

そして、一行は出発した。
この物語の、一つの終末へと向かって━━━━。
















「な……なんだあコレはァ!!!」



建設中の橋に着いた先で見たもの。
それは、建設に携わっていた人々が血を流し、地に伏せている、目を塞いでしまいたくなるような惨状だった。

極めつけ、タズナが抱き起こした町民から苦しそうに、やっとのことで紡がれた言葉。


━━━━化け物



その一言に、ユウは確信した。

再不斬と、そして白と━━━━
再戦することになるのだと。

そんなユウたちを追い詰めるように、霧が立ち込め始めた。



「!来るぞォ!!」

「「「!」」」



それぞれクナイを構え、やってくる敵に備える。
緊張があたりを包む。



「ね!カカシ先生これって……これってあいつの霧隠れの術よね!」



サスケの体が震え始める。



「久しぶりだなカカシ、琥珀のガキ。
相変わらずそんなガキを連れて……
また震えてるじゃないか……かわいそうに……」



心にもないことを、と内心毒づくユウたちの前に姿を現した、再不斬の水分身たち。

軽く10体はいるのではないだろうか。

そんな中、小馬鹿にされたサスケは不敵な笑みを浮かべた。



「武者震いだよ!」

「!!」

「やれ、サスケ」



許可の合図が出たと同時に、サスケは動いた。
一瞬で10体の水分身をクナイで切りつけ、切りつけられた水分身は成すすべなく飛沫をあげ、水となり、バシャリと音を立てて崩れ落ちる。



「ホー、水分身を見切ったか。あのガキかなり成長したな……
強敵出現ってとこだな……白」



再不斬から紡がれた名前に、鼓動がドクンと大きく波打った。
再不斬の斜め後ろに姿を現した白は頷く。



「そうみたいですね」

「あ!」

「どうやらオレの予想的中しちゃったみたいね……
あのお面ちゃん……どう見たってザブザの仲間でしょ!
一緒に並んじゃって……」

「どの面下げて堂々と出て来ちゃってんのよ、アイツ」



サクラとカカシの会話も、どこか遠くに聞こえる。


もう、今はあの白じゃない。
抜け忍としての白……。

彼は敵、なんだ


クナイをギュと握り締める。
感情を押し殺したユウの瞳に、誰も気付くことはなかった。



「アイツはオレがやる」

「え?」

「ヘタな芝居しやがって……オレはああいうスカしたガキが一番嫌いだ」

「カッコイイサスケ君」

「(サスケにはつっこまないんだよなァ……サクラの奴)」



ハートマークが語尾につきそうなサクラのセリフにユウは苦笑を、カカシは呆れた視線を向けた。


サクラはサスケが大好きだからな……


一つため息をつき、サスケの前に立ちふさがる。



「サスケ、かっこよく決めてる所ゴメン。
あの人は、あたしがやる」

「ユウ!?お前、何言ってんだ!?
アイツはオレに任せろつってんだろ!!」

「でも……」


「じゃあオレが決めてやろうか」



再不斬は引かない両者にため息をつく。
彼としては早く戦いたくて仕方ないのだろう。



「白、黒髪のガキを先にやれ。
先手は先に打った、行け!」

「ハイ」

「ぅわッ!?」



瞬身で姿を消した白を見てサスケはユウを押し退け、クナイで千本に対抗する。
両者の武器は何度もぶつかり、火花が散る。
しかも素晴らしいスピードで、両者は一歩も引かない攻防を続けているのだ。





次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ