絆道
□第7話
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「じゃ!ナルトをよろしくお願いします。
限界まで体使っちゃってるから……今日はもう動けないと思いますんで」
朝、タズナ宅の玄関で、ユウたちはツナミに見送りをしてもらっていた。
ちなみにそのメンバーの中にナルトはいない。
彼はよほど体を酷使してしまったのか、今日は起きられなかったのだ。
で、冒頭に至る。
「じゃ!超行ってくる」
「ハイ。ユウちゃんもいってらっしゃい」
「え、あ……い、いってきます」
緊張しているのか、オドオドしたその返答に、カカシは静かに微笑んだ。
この波の国の任務……ユウにこういう経験をさせるためには良かったのかもしれない。
そして、一行は出発した。
この物語の、一つの終末へと向かって━━━━。
「な……なんだあコレはァ!!!」
建設中の橋に着いた先で見たもの。
それは、建設に携わっていた人々が血を流し、地に伏せている、目を塞いでしまいたくなるような惨状だった。
極めつけ、タズナが抱き起こした町民から苦しそうに、やっとのことで紡がれた言葉。
━━━━化け物
その一言に、ユウは確信した。
再不斬と、そして白と━━━━
再戦することになるのだと。
そんなユウたちを追い詰めるように、霧が立ち込め始めた。
「!来るぞォ!!」
「「「!」」」
それぞれクナイを構え、やってくる敵に備える。
緊張があたりを包む。
「ね!カカシ先生これって……これってあいつの霧隠れの術よね!」
サスケの体が震え始める。
「久しぶりだなカカシ、琥珀のガキ。
相変わらずそんなガキを連れて……
また震えてるじゃないか……かわいそうに……」
心にもないことを、と内心毒づくユウたちの前に姿を現した、再不斬の水分身たち。
軽く10体はいるのではないだろうか。
そんな中、小馬鹿にされたサスケは不敵な笑みを浮かべた。
「武者震いだよ!」
「!!」
「やれ、サスケ」
許可の合図が出たと同時に、サスケは動いた。
一瞬で10体の水分身をクナイで切りつけ、切りつけられた水分身は成すすべなく飛沫をあげ、水となり、バシャリと音を立てて崩れ落ちる。
「ホー、水分身を見切ったか。あのガキかなり成長したな……
強敵出現ってとこだな……白」
再不斬から紡がれた名前に、鼓動がドクンと大きく波打った。
再不斬の斜め後ろに姿を現した白は頷く。
「そうみたいですね」
「あ!」
「どうやらオレの予想的中しちゃったみたいね……
あのお面ちゃん……どう見たってザブザの仲間でしょ!
一緒に並んじゃって……」
「どの面下げて堂々と出て来ちゃってんのよ、アイツ」
サクラとカカシの会話も、どこか遠くに聞こえる。
もう、今はあの白じゃない。
抜け忍としての白……。
彼は敵、なんだ
クナイをギュと握り締める。
感情を押し殺したユウの瞳に、誰も気付くことはなかった。
「アイツはオレがやる」
「え?」
「ヘタな芝居しやがって……オレはああいうスカしたガキが一番嫌いだ」
「カッコイイサスケ君」
「(サスケにはつっこまないんだよなァ……サクラの奴)」
ハートマークが語尾につきそうなサクラのセリフにユウは苦笑を、カカシは呆れた視線を向けた。
サクラはサスケが大好きだからな……
一つため息をつき、サスケの前に立ちふさがる。
「サスケ、かっこよく決めてる所ゴメン。
あの人は、あたしがやる」
「ユウ!?お前、何言ってんだ!?
アイツはオレに任せろつってんだろ!!」
「でも……」
「じゃあオレが決めてやろうか」
再不斬は引かない両者にため息をつく。
彼としては早く戦いたくて仕方ないのだろう。
「白、黒髪のガキを先にやれ。
先手は先に打った、行け!」
「ハイ」
「ぅわッ!?」
瞬身で姿を消した白を見てサスケはユウを押し退け、クナイで千本に対抗する。
両者の武器は何度もぶつかり、火花が散る。
しかも素晴らしいスピードで、両者は一歩も引かない攻防を続けているのだ。
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