絆道

□第2話
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あの卒業試験から早くも一週間が経った。
この一週間の間、ユウは忍者登録書を書いてヒルゼンに提出したり、必要になるであろう忍具を買い揃えたりしていた。

そして今日は下忍説明会当日。
班決めなどが行われるこの日は忍者になるための第一歩だ。

いつも付けていた黒い布の代わりに額あてを額に付け、会場入りを果たしたユウ。
指定されていた教室の引き戸をガラリと開けると既にナルトもサスケも来ていた。



「お、ユウ!!おはよーだってばよ!!」

「おはようナルト
サスケもおはよう」



ニッコリ笑いかければサスケも右手をあげ、ああ、と返してくれた。
そのやりとりを見ていたナルトは何故か不機嫌そうにムスッとする。



「ユウってばいつの間にサスケなんかと仲良くなったんだよ?」

「え?んーっと……卒業試験の日に友達になったんだよ、ね?サスケ」

「(……友達……)あ、ああ……まあ、な……」



突然サスケの背後に負のオーラが漂い始め、ユウとナルトは2人で顔を見合わせ、再びサスケを見て首をかしげた。


んー……サスケ、元気ないけどどうしたんだろう?
ってそれよりもそろそろ席につかないと!通行人の邪魔になるし!!


キョロキョロと辺りを見回し、誰も座っていない席を探していると突如声をかけられた。



「なぁ!席探してンだったらオレの隣に来いよ!」

「ワンワン!」



声をかけてきたのはフードを被り、頭の上に小さな白い毛並みの忍犬、赤丸を乗せている少年、犬塚キバだった。
話したことはおそらく無いが、同じクラスだった少年だ。



「え、でも……
いいの?キバ君」

「お、オレの名前覚えてんだ?」

「うん!同じクラスだったよね?」



花が咲いたようなユウの笑顔を直に受け、途端にキバは真っ赤になる。
そして赤丸は何を思ったか、キバの頭の上からジャンプし、真っ直ぐユウの元へ。



「ふわっ?!」



持ち前の反射神経で何とか赤丸をキャッチするも、ストン、と尻餅をつく。
赤丸は嬉しそうにユウの顔をペロペロ舐め、尻尾を千切れんばかりにぶんぶん振った。



「何やってんだ赤ま、る……!!?」



何故赤丸を咎めようとしたキバが停止してしまったのか……。
それは目の前に広がる光景が原因だった。



「ははは、赤丸くすぐったいよ〜」

「ワン!クゥ〜ン……」



まるで赤丸とユウの周りだけ切り取られたように世界が違う。
二人(一人と一匹?)の周りには花畑が見える始末だ。
しかもユウの満面の笑みを見せられてはこの雰囲気を壊すのもなんだか忍びない。
まるで幻術にかけられたかのようだ。
そこまで考えたキバはハッと我に返ったように勢いよく首を横に振り、赤丸を抱き上げる。



「赤丸危ないじゃねーか!勝手に飛びついたりしたらユウがビックリするだろ?」



怒られた赤丸はクゥ〜ンと鳴き、ユウは立ち上がってズボンについた埃を払う。



「キバ君、そんなに気にしなくても大丈夫だよ。ちょっとビックリしただけだから」

「ならいいんだけどよ……」



ニコッと笑いかければ再び顔を真っ赤にするキバ。
風邪だろうか、とこてりと首を傾げる。



「ユウーーーー!!キバなんかほっといてオレの隣に来いってばよ!!」

「ナルトてめぇオレが先に誘ってんだぞ!!!」

「ンなこと知るかァ!大体、ユウと先に友達になったのはこのオレだってばよ!!!」



ンだとォ!やるかァ!!などのナルトとキバの怒声が教室内を飛び交う。
止めたほうがいいのだろうか。
あたふたしていると手を誰かに握られ、ユウはビクッと体を震わせる。



「ユウ、そんなウスラトンカチ共は放っておいてこっち来い」

「サ、サスケ?」



ユウの手を引いたのはサスケだった。
そしてサスケはケンカしているナルトとキバを放置し、ユウを引き連れて先ほどまで座っていた席へと連れて行く。
そしてサスケが近づいてきていたことに気づかなかったユウは気配に気付かないなんて、と内心落ち込んだ。






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