絆道

□第1話
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窓際の前から三番目の席に座り、本を読んでいた少女はふと落としていた視線を窓へ向ける。

何やら火影の顔色が見るも無残な落書きが施されており、思わず苦笑してしまう。
この惨事の元凶だろう金髪ツンツン頭の少年はというと、とうとう担任に捕まってしまったようだ。


少女―――琥珀ユウは眩しいものを見るかのようにその翡翠色の双眸を細めた。


彼が捕まったということはそろそろ遅れていた授業が始まるだろう。
それまでは、とユウは再び本に目を落とした。


金髪ツンツン頭の少年、うずまきナルトが縄で縛り上げられた格好でこのクラスの担任である海野イルカに引きずられるようにして教室に入ってきたのはその数分後のことである。



「フン」



ツーンとした態度で説教を聞き流す問題児一名。
まったく反省の色が見られぬその態度にイルカは額に青筋を浮かべ怒鳴る。



「明日は忍者学校の卒業試験だぞ!!お前は前回もその前も試験に落ちてる!!
外でいたずらしてる場合じゃないだろバカヤロ――!!」

「はいはい」



熱血先生よろしく怒鳴るがナルトからの反応は虚しい。
なにせため息をつきながらめんどくさそうなこの相槌だ。
ブチィっとイルカがキレるのも仕方がないというもので



「今日の授業は変化の術の復習テストだ、全員並べーーーーーーーーー!!!」

「「「「えーーーーーーーーーーー!!!」」」」



まさかの全生徒への腹いせにブーイングが沸き起こるが、先生そっくりに化けること!と指示を出すイルカは素知らぬ顔で取り消す気はないらしい。
ユウは思わず苦笑してしまうのだった。





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