想いの音

□Act.06
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あっという間にゴールデンウィークが終わり、学校が始まって早3日。
学校は文化祭についての話し合いが行われていた。

と、言うのもうちの学校はちょい特殊で、11月に行うのだがより完成度の高いものをとかなり早い段階から準備を進めるからだ。お陰でこの学校の文化祭はちょっとした有名所。
おまけに来月には体育祭もあって、そこそこ忙しい時期だ。



「というわけで今年は俺たちのクラスは1年1組と合同で出し物をすることになった。
詳しいことは5時限目に208大教室で決めるから遅れるなよ、特にデミックス」

「ちょ、サイクスなんで俺だけ!?」

「今までの自分の行いを振り返ってみるじゃん」



カンクロウが茶化し、バカデミはうっそぉ〜ん!と項垂れる。
しかしすぐにあ!と顔をあげ、キラキラとした笑顔を向けてきた
なんだコイツ気持ちわる……



「1年1組といえばユウがいるじゃん!!」

「……あ」



そういえば、そうだったな
ってことはロクサスとシオンもいるし、多少は楽しくなりそうだ
ゆるり、口角を持ちあげる。
5時限目が待ち遠しくなった。








「と、いうことでボク達のクラスは2年2組の先輩たちと一緒にやることになったッス!
5時限目に208教室で行うんで遅れないでくださいよ!
特にハイネとピンズ」

「なんで俺?!」

「ハイネはともかく、僕のは完全に体型見て判断したよねトビ!?」



クラスに笑いの渦が巻き起こる。
くすり、小さく笑んだ。
ちょいちょい、と腕をつつかれ、なんだろうとそちらを見ると嬉しそうなシオン。



「どうしたの?」

「2年2組とだって!!」

「そうみたいだね」

「……もしかしてユウ、気づいてないのか?」



思っていた反応と違ったのか、ひょこっと顔を出してきた栗色の髪。
ロクサスだ。
何が?と首をかしげると、シオンが苦笑しながら口を開く。



「もう、ユウったら……
2年2組といえばアクセルがいるクラスだよ?」

「え……?」



一瞬、呆けてしまう。



「え、ほんとに?」

「「ほんとほんと」」

「……アクセル先輩のクラス、と……」



アクセル先輩で思い出すのは、あのライブの出来事。
恥ずかしいって気持ちはもちろんあったけど、何よりも先輩にいつもありがとうっていう感謝の気持ちを伝えたくて
少しでも貰っている物を返したくて歌った、あの日。

気付いていた
ずっと、目を逸らすことなく、真っ直ぐステージ上の私を見守ってくれていたこと
だからあの日、がんばれた
先輩に無様な姿は見せられないって

ロクサスたちと過ごすようになってから……なんでかな

ナルトたちの所に戻れなくなった

あそこにいると、見たくないものまで見えてしまうからかもしれない。
今私は、ナルトたちとの接触をなんとなく避けている
きっとみんなは私なんていなくても大丈夫だろうけど……

あまりにも、アクセル先輩たちと過ごすこの場所が、暖かすぎて……

依存、してしまっているのかもしれない



「文化祭楽しみだね、ユウ!」

「一緒に回ろうな!!」

「―――うん。そう、だね」



そろそろ、離れなくては
そう思いつつも、離れ難いなぁ、と胸がキューっとなった。




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