紅狼

□第九訓
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いつの間にかクリーニングされていた隊服に久しぶりに袖を通す。
スカーフをつけ、前をきっちりとしめる。

干していた布団をベランダから中に戻し、畳んで押し入れに入れる。


部屋の襖が開かれ、そこには、煙草をくわえるかーちゃんの姿。



「準備は出来たかい」


「うん、一週間泊まらせてくれてありがとね」

「もうちょい居て欲しかったんだけどねェ………いっその事、こっちに転職したらどうだい?」


「あはははは!嫌に決まってるでしょ、毎日あの天パ相手にしてたらこっちが天パになるわ」


「違いないね、ほら、これ持ってきな」



何かが包まれている風呂敷を投げられ、受けとる。



「あんたの着流しだよ、洗っといたんだ感謝しな」


「隊服のクリーニングからこれまで………やっぱ、持つべきものは気の利くかーちゃんだ」


風呂敷の結びを解くと、
中からはいつもの古汚ない着流しではなく、新しい着流しが入っていた。



「さっさといきな」


顔をあげれば、こちらに背をむけ
相変わらず煙草を吹かしている。

目頭が熱くなるのを感じ、胸の内から込み上げてくるなにかをおさえる。


「こんなに綺麗だったかねー……っ私の着流しは………」


風呂敷を包み直し、背負う。
かーちゃんの横を通り、玄関に向かい、いつもの黒いブーツをはく。


「…………たまには顔出しにきな
銀時達がうるさいからね名前名前ってね」



「まぁ、平和を護るお巡りさんは忙しいからねェ」



「時折、見廻りサボってる奴が言う台詞かぃ」


「あはは……あれは、総悟が悪い」


どこからともなく現れて、やれ団子屋、やれファミレスやらに私を連れ回しては最終的には土方さんに見つかり怒られる。


全く、迷惑な男だ。



「誰が悪いって?」


「っ!!!!!!」


後ろを振り向けば、開かれた玄関の戸にもたれかかる総悟がこちらを見ていた。


「ッ総悟!アンタ、なんでここに………」


「迎えに行けって近藤さんがま、とりあえず行きやしょ
お登勢の女将、ありがとうございやした」

「礼を言うのはこっちだよ、助かった、そんじゃあね」


「かーちゃん」



名前は振り向かずに言った






「……梅茶漬け、食べに来るから」


「…あァ、熱々にして待ってるよ」








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