紅狼

□第六訓
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祭り当日


行き交う人達は浴衣姿で涼しげだ。
私はいつも通り、土方さんの隣りに立ち、怪しい人物がいないか目を光らせる。


「名前、いいか、
絶対に今日は一人になるな」

「土方さん、それ何回目ですか」


朝からずっと言われ続けている、
一人になるな≠ニいう言葉。

かれこれ100回以上は言われている。


……………晋助のことだろう。


この人達、本当に分かりやすい。

あの話をして以降、私の傍にはいつも真選組の誰かしらは居る。

今もさり気無く土方さんと近藤さんの間に挟まれている。


「あの、お手洗いに行きたいんですけど」

「あ、丁度俺も行きたいと思っていたんでィ」

「…………行ってこい」


土方さんの許しが出たと同時に、
近藤さんに呼ばれる。
近寄れば、こっそりお金を持たせてくれた。

「少し遊んでこい、総悟となら大丈夫だろう、だが、くれぐれも一人にはなるなよ」

「近藤さん………っ!」

「さ、行こうぜィ」


総悟に手を引っ張られる。




***


総悟と共に屋台見物をしていると
射的屋で見慣れたチャイナ服が目に入った。


「神楽だ、総悟、今日こそ勝ってきなよー」

「当たり前でさァ」


イカ焼き片手に射的屋に歩いていく総悟。
あれ、射的屋の………グラサン………


「長谷川さんんんん!!?」

「あぁぁあ名前ちゃん!助けて「腕時計ゲーッツ」

「ちょーちょー待てっ!!待てってオイ!何でもあげるっつったっておじさんのはナシだよ!ちょっと、聞いてる?!」


パン 「ぐふっ」
「ヒゲもーらい」

パン 「ごえっ」
「上着ゲーッツ」

パン 「べほっ」
「乳首とったりィ!!」


「………………」

「………………」



無言で見るしかない新八と名前であった。





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